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2007年1月11日 (木)

鉄道テロ対策とネットワーク監視カメラシステムについて(2)

実施された「駅顔認証システムを用いた地下鉄セキュリティ」システムは,一般人が利用できないように分離した改札で,ボランティアを通行させて実証実験が行われたようである。この場合,被撮影者の完全な同意があるので,この実証実験自体はもちろん適法である。問題は,仮に,このシステムが一般人相手に実施された場合にどうなるか,という点だ。

詳細は別の機会にゆずるが,駅という公共の場所に監視カメラを設置することが許されるためには,その目的が正当であり,かつ,その手段が正当であることが最低条件である。「駅顔認証システムを用いた地下鉄セキュリティ」システムは地下鉄テロ対策を目的とするものであり,この目的が正当であることについて異論はあるまい。とすると,問題は,手段が正当か,という点である。

国土交通省のホームページよれば,本件システムの実施手段は,第一に,特定の人物の顔データをデータベースに登録し,次に,通行人を複数のカメラで撮影して照合し,画像の人物を特定する,というものである。この順番に従って検討すると,まず,「特定の人物の顔データをデータベースに登録する」ことは法律上問題ないのであろうか。

言うまでもなく,顔データは,本人を特定する重要な情報であるから,個人情報保護法で保護されていることは勿論,本人にとって,重要なプライバシー情報である。本人の同意なくデータベースに登録することが許されるには,それなりの正当性がなければならない。本件システムが地下鉄テロ対策を目的とする以上は,地下鉄テロと無関係な人物をデータベースに登録することは,不当なプライバシー権侵害として許されない。

では,例えば,ロンドンの地下鉄テロ事件の首謀者として国際指名手配されている人物(そのような人物がいるのかどうか,筆者は知らないが)の顔データを登録することはどうか。この場合,件の首謀者に,プライバシー権侵害を主張する権利はない。しかし,地下鉄テロ首謀者の顔データをデータベースに登録することによって,地下鉄テロを防止することができるか否かは別問題である。(小林)(続)

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