次世代ロボットと武器輸出規制について(1)
某国の軍事関係の企業が,階段を自律的に昇降するロボット技術の提供が受けられないかと訪ねてきたという。その企業は明言していないが,市街戦における偵察ロボットに使用する意図ではないか,というのである。建物やがれきの中から被災者を見つけ出すレスキューロボットの技術は,市街戦における偵察ロボットの技術とよく似ているから,軍事転用しようと思えば容易であろう。
海外の軍事部門が日本の次世代ロボット技術に関心を示したことは,ロボット産業や技術の発展という見地からは喜ぶべきことだが,これに応じることについて,法的に問題はないのだろうか。
ロボットではないが,軍事転用可能な工業技術を違法に輸出しようとして摘発された近年の例としては,2001年から2005年にかけて大手精密機器メーカーである株式会社ミツトヨが経済産業省の許可を受けずに,核兵器製造に転用可能な三次元測定機器5台をシンガポール及びマレーシアに不正輸出したとして,当時の役員数名が起訴された事件,ヤマハ発動機株式会社の代表取締役が2005年12月に,経済産業大臣の許可を受けずに無人ヘリコプターを中国に輸出し又は輸出しようとしたものとして経済産業省の告発を受けた事件(平成18年1月1日付けの読売新聞の報道によれば,福岡・静岡両県警の合同捜査本部は,同社スカイ事業部幹部ら数人を逮捕する方針を固めたとのことである),有限会社アイ・ディー・サポートが北朝鮮に対し核兵器等の開発等のために用いられるおそれのあるインバーター(周波数変換器)の輸出に関し,経済産業大臣の許可を受けずに輸出したとして2004年5月に同社代表取締役が懲役1年執行猶予3年の判決を受け,経済産業省から輸出禁止4ヶ月の行政制裁を科された事件,など枚挙にいとまがない。警察庁のホームページによると,これまで検挙された安全保障関連物資の不正輸出事件は18件とのことである。(小林)
(続)
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