鉄道テロ対策とネットワーク監視カメラシステムについて(1)
国土交通省鉄道局のホームページによると,財団法人運輸政策研究機構の主催により,カメラの映像から特定の人物を顔の特徴により照合・認証するシステムの技術的検証を行うことを目的として「顔認証システムを用いた新規カメラ研究会」を開催し、平成18年5月1日~19日に東京メトロ霞ヶ関駅において実証実験を実施したとのことである。このホームページに添付された「同実証実験の概要」というPDFファイルによると,この実証実験は,「鉄道利用者にとって抵抗感の少ない不審物,爆発物,不審者の検査等に関する新技術の導入可能性の検討を行う」ことを目的とするものであり,具体的には,「改札等を通行する人物を複数のカメラで撮影し,立体画像データ処理により,事前に登録されているデータベースの画像データ一覧と照合し,画像の人物を特定する」という手段をとるようである。そして,この実証実験は,平成18年5月1日から19日にかけて,東京メトロ霞ヶ関駅において実施された。http://www.mlit.go.jp/tetudo/kiki/02_naiyou.html
ところで,この実証実験に対しては,「監視社会を拒否する会」という団体が,国土交通省に対し,実証実験を中止する申し入れを行った。同団体のホームページによると,この会は急増するネットワーク監視カメラシステムは,人間Nシステムであって,「市民一人一人の一挙手一投足が,政府・警察によって監視される社会になる」との警鐘を鳴らし,監視社会の進行にストップをかけることを趣旨とする会である。
(http://www009.upp.so-net.ne.jp/kansi-no/)
実際のところ,地下鉄に限らず,駅構内に設置される監視カメラの数は,近年急増していると感じられる。この現象に対しては,利用客の安全を守るためには当然とする意見も多いだろうし,不愉快だがやむを得ないという消極的支持も多いだろう。特に,9.11以降は,テロ対策といわれれば,表だって反対しにくい雰囲気もある。その中で表立って反対の声を上げた「監視社会を拒否する会」の主張だが,この主張は法律的に見た場合,正当だろうか。以下数回に分けて,この「駅顔認証システムを用いた地下鉄セキュリティ実証実験」の法律上の問題について考えてみたい。(小林)(続)
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