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2007年1月12日 (金)

「パトカーに防犯カメラ」の記事への疑問

「犯罪の多発地域を中心に最新式カメラを搭載したパトカーを走行させ、街角の映像を自動録画する全国初の措置を、警視庁が導入する方向で検討していることが明らかになった。」との報道が本日あった。

パトカーのフロント部分に固定したデジタルビデオカメラで最長12時間録画できるようにしたシステムをパトカー700台に導入し,犯罪がおきた場合,不審者を発見した場合のほか,警察署長が必要と認めた地域で,走行中にカメラを作動させ,街頭の映像を記録しようというものだそうである。「パトカーが街頭を撮影している」という意識を広げ,犯罪抑止につなげる狙いとのことである。

アメリカではすでにパトカーのフロントに固定カメラが設置されており,決定的場面を撮影した映像がニュースや報道番組で放映されている。これに対して東京では,都内の全パトカー1400台のうち五百数十台に家庭用ビデオカメラが搭載してあり,必要なときは警察官が手持ちで撮影するのだという。これではいざというとき,撮影に手が回らないのは当然であり,アメリカに比べお粗末との印象をぬぐえない。

情報化社会となった今日,パトカーが犯罪に遭遇したとき,証拠として録画するシステムを備えるべきことは,当然といえよう。犯罪そのものではなくても,不審者(車)や犯罪の痕跡と思われる場所を撮影することも,運用規準をどうするかという問題はあるが,認められてよいと思う。

この記事を読んで私が理解できなかったのは,「警察署長が必要と認めた地域で,走行中にカメラを作動させることにより,犯罪抑止につなげたい」という部分である。記事によれば,抑止の対象となる犯罪類型としてはひったくりや路上強盗が挙げられている。

パトカーが走行中にカメラを作動させることによって「初めて」抑止される犯罪というのは,一体何なのであろうか。私がひったくりを計画している街のチンピラなら,パトカーが巡回してくれば,それがカメラを搭載していようがいまいが,パトカーが立ち去るまでは犯罪行為に及ばない。それが健全な常識(?)を持つ犯罪者のふるまいであろう。記事によれば,カメラを搭載したパトカーは,「警察署長が必要と認めた地域」ではカメラを作動させっぱなしで巡回するという。パトカーがカメラを搭載しないでその地域を巡回したのでは実現できないことが,カメラを作動させて巡回すれば実現できるということであろう。つまり,「パトカーが来た」というだけではひったくりや路上強盗をやめない(=パトカーの前で堂々とひったくりや路上強盗を遂行する)が,そのパトカーに録画されているとなれば,ひったくりや路上強盗を諦める輩(やから)が,その「警察署長が認めた地域」にはたむろしている,ということになる。本当にそのような人間や地域が存在するのであろうか?それとも私は根本的な誤解をしているのであろうか。分かる方,教えて下さい。(小林)

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