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2007年1月15日 (月)

鉄道テロ対策とネットワーク監視カメラシステムについて(3)

ネットワーク監視カメラの設置運用手段が正当か否かを判定するテストはいくつか考えられるが,その中に,「目的と手段の合理的関連性のテスト」がある。本件に即して平たく言えば,「地下鉄テロ事件の首謀者として国際手配されている人物の顔データをデータベースに登録することによって,地下鉄テロは防止できるか?」というテストである。

筆者はテロ対策やセキュリティ対策の専門家ではないが,素人なりに考えてみると,地下鉄テロ首謀者の顔データをデータベースに登録したからと言って,地下鉄テロは防止できないと思う。経験則上,現代のテロ実行形態は自爆テロであり,実行犯は名もなき一般人であって,国際指名手配を受けるような「大物」がテロを実行するとは思われないからである。なるほど,国際指名手配テロリストが地下鉄構内をうろついていれば,それは恐ろしいことである。彼は地下鉄テロ実行場所の下見に来たのかもしれない。しかし,単に仲間に会うため移動しているのかもしれないし,遊びに来ているのかもしれない。「国際指名手配テロリストが地下鉄の改札を通過した」という事実と,「その地下鉄でテロが発生する」という事実との間には,余りに多くの仮定が存在する。

もちろん,テロと戦う国内外の専門機関や組織が把握する危険人物は,首領だけではあるまい。指名手配こそしていないが,マークされている「危険人物」も多いであろう。では,そのような「危険人物」を本件システムのデータベースに登録してはどうだろうか。

これならば,「目的と手段の合理的関連性」のテストはクリアーできそうである。しかし,「手段の正当性」の条件を満たすためには,「その手段が他の法令に違反しないこと」も必要である。逮捕状が出ていない人間の顔データをデータベースに登録することは,未だ犯罪を実行していない者に対する公開指名手配捜査を行うに等しいから,法律の裏付けがない現状では,原則として許されないといわざるを得ない。同様に,特定国の国民であることや,特定の人種であることのみを理由としてデータベースに登録することも違法となろう。

もちろん,緊急事態であれば例外である。歴史にIFは無いが,もし,地下鉄サリン事件が起こった時点で,本件システムが技術的に可能であったとするならば,かの宗教団体の構成員であるというだけの理由で,データベースに登録することは,緊急事態を理由に許されたかもしれない。(小林)(続)

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