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2007年1月23日 (火)

鉄道テロ対策とネットワーク監視カメラシステムについて(5)

表題からさらに脱線するが,思考実験として,次の事例を考えてみたい。

われわれ弁護士の経験上,痴漢は極めて再犯性の高い犯罪である。仮に,ある鉄道会社の路線で痴漢行為を働き現行犯逮捕された男性がいたとして,この男性の顔画像データをデータベースに登録し,この男性が同じ鉄道会社の駅改札口を通過した場合に警報が鳴り,職員がさりげなくこの男性をマークする,というシステム(便宜上,「顔認証による電車内痴漢防止システム」と呼ぶことにする)を実施することは,技術上は可能であろう。

このようなシステムは適法であろうか。

多くの女性は,諸手をあげて「顔認証による電車内痴漢防止システム」の導入に賛成するのではないだろうか。しかし,このシステムが適法であるならば,同様の様々なシステムが考えられる。例えば,ある百貨店において万引で現行犯逮捕された女性がいるとして,この女性の顔データをデータベースに登録し,同じ系列の百貨店に入店すると警報が鳴り,従業員のマークを受けるという「顔認証による万引防止システム」である。このようなシステムは適法であろうか。「なぜ女性なのか」とお叱りを受けるかもしれないが他意はないのでご容赦頂きたい。

上記のようなシステムについて,適法だという人もいれば,違法だという人もいよう。それはそれで構わない。問題は,このような思考実験によって色々なシステムを想定してみたとき,「さすがにこれはやっていけないことではないのか?」と判断される限界点がどこかにあるだろう,という点である。その限界点がどこかについて,われわれ法律家を含む多くの人たちが真剣に検討しなければならない時代が既に来ていると思う。(小林)(了)

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