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2007年2月24日 (土)

六本木ヒルズ回転ドア死亡事故とロボットの安全

 私が参加している経済産業省の次世代ロボット安全性確保ガイドライン検討委員会は,次世代ロボットの安全基準のガイドラインを策定することを目的としている。もっとも,次世代ロボットとは何か,となるとはっきりしないので,当面は,自動清掃ロボットのようなものを念頭に置いて安全基準を考えると言うことのようだ。

 ところで,ロボットとは何か,ということになると,実ははっきりしない。経済産業省は,とりあえず,「センサー、知能・制御系、駆動系の3つの技術要素を有する、知能化した機械システム」をもってロボットの定義としている。

 ロボット,と聞いて一般市民がイメージするものと,経済産業省の定義の最大の違いは,この定義によれば,人間に似ていることはロボットの要件ではないということである。ロボットといえるためには,センサーと知能・制御系,駆動系の3要素を備えていれば足りるので,例えば,MPUを備えた多少高級な自動回転ドアは,経済産業省の定義を借りれば,ロボットとなる。他方,鉄人28号や機動戦士ガンダムは,いずれも人間が操縦しなければ動かないので,「知能・制御系」を備えていないことになり,経済産業省のいうロボットに該当しない。

 自動回転ドアがロボットということになると,2004326日に6歳の男児(大阪府在住)が六本木ヒルズ森タワー正面入口の大型回転ドア(三和シヤッター関連会社の三和タジマ社製)に挟まれ死亡した事故は,次世代ロボットによる(もしかしたら最初の)死亡事故,ということになる。民事事件が訴訟にならずに終了してしまったため,事故原因に関する資料は公開されずじまいであった。次世代ロボットの安全性確保規準を制定しようとする立場からは,事件記録が公開されなかったことは大変残念である。

 この事故を受けて,国土交通省では「自動回転ドアの事故防止対策に関する検討会」が発足し,「自動回転ドアの事故防止対策に関するガイドライン」が制定された。その詳細は後日論じるつもりだが,関心のある方は下記ホームページをご参照頂きたい。

 このガイドラインのポイントは,次の通りである。

① 子供連れ、高齢者、障害者等の利用に配慮して、他形式のドアを併設すること。

② 挟まれ防止のため制動距離の制限、防御柵の設置など多重の安全対策を確保すること。

       衝突防止のためドアの最大回転速度(ドアの外周部で65cm/秒)を制限すること。 等

 この内容自体には,特に異論はないのだが,これで事故を防ぐことができるのか,素人ながら疑問である。この事故は典型的なヒューマンインターフェース上の齟齬が根本にあるような気がするのだが,上記ガイドラインがヒューマンインターフェースを重視した痕跡は見られない。(小林)

「自動回転ドアの事故防止対策に関するガイドライン」はこちら

http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha04/07/070629_2_.html

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