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2007年2月28日 (水)

製造物責任法と消費者期待規準

 ロボットが事故を起こして人の生命身体が害されたとき,当該ロボットの製造者が製造物責任法上の責任を負うか否かが,一つの争点になる。

 製造物責任法は,次のように規定している。

 「この法律において『欠陥』とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。」(2条2項)。

 問題は,「欠陥」の内容すなわち「当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていること」ことの有無は,何を基準に判定されるのか,という点である。

 この点に関し,「これは欧米で既に導入されている『消費者期待基準』と同様の考え方であり、『通常の消費者(使用者)が期待する安全性』を基準にして製品の欠陥が判断されることになる。」とする見解もあるが,一般には,製造物責任法が「消費者期待規準」を採用したとは考えられていない。欠陥の有無は,消費者,製造業者を含めた「通常人」の視点から,「その製品として備えるべき安全性を有しているか否か」が判断されると考えられている。

 「通常人」って何よ,とつっこまれそうだが,これは全国民の平均値という意味でも,多数派という意味でもない。裁判官が頭の中に思い描く「一般的な合理的判断能力を有する架空の人間」である。

 それでは「消費者期待」と「通常人」という判断基準の違いは何か。観念的には,「消費者期待」規準の方が,消費者保護に厚い結論を導く,とされる。もっとも,いずれの規準にしても,日本の裁判では裁判所の胸三寸なので,結論に余り差異はないかもしれない。(小林)

 

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