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2007年3月 6日 (火)

当座貸越契約の消滅時効

「平成4年に大阪のSS信用金庫のカードローンで5万円借りたのですが,その後この借金は返したものと思って放っていたのです。ところが平成19年の2月になって,利息込みで32万円返せと請求してきたんですよ。これって時効じゃないんですか?」という相談があった。

私はもちろん時効になっていると回答した。ちなみに銀行借入金の消滅時効期間は5年である。そこで,時効です,という内容の通知書を出したらSS信用金庫の弁護士から回答が来た。この回答によると,「本件カードローン契約は,当座貸越契約です。当座貸越契約に基づく債務の消滅時効の起算点は,当該当座貸越契約の終了時というのが判例です。ところで,本件カードローン契約は,3年ごとの自動更新になっているので,平成18年12月にSS信用金庫が更新を打ち切るまで,終了していません。従って,お客様のカードローンの消滅時効期間は,平成18年12月が起算点ですから,まだ時効消滅していません。」ということである。

おわかりだろうか。弁護士というのは何とめんどくさい言い回しをするなあ,と思われるかもしれないが,要は三段論法である。つまり,

       本件カードローン契約は自動更新で,平成18年12月まで続いていた。

       判例上,カードローンの時効は,契約が終了したときから数え始めることになっている。

       だから,本件カードローンの時効は,平成18年12月から5年たたないと,時効にならない。

と言っているのである。

 時効か,時効でないか。相手の弁護士の論理は,一見,理路整然としているように見えるが,この理論が正しいのであれば,カードローン契約を自動更新にさえしておけば,時効は永久に成立しない。永久に成立しない時効なんて概念矛盾である。SS信用金庫としては,数年間一円の出し入れもなかったのであれば,顧客に当座貸越契約を継続する意思はないものと見なして,貸越金を請求することができたのであるから,それを10年以上も放っておいて,自動更新も何もないもんだ,と思う。

 自慢にも何もならないが,私は弱いものの味方ばかりしている弁護士ではない。しかし,ごくたまにこのような事件に接すると,ホコリをかぶっていた弁護士の魂がむくむくと頭をもたげてくる。さてどうなりますやら。(小林)

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