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2007年3月 4日 (日)

STATE OF THE ARTとは

 次世代ロボットの安全性を議論すると,よく,「ステイト・オブ・ジ・アート(state of the art)」という言葉を耳にするが,どういう意味だろうか。

 ランダムハウス英和大辞典によれば,これは,(テクノロジー・芸術・価額などの)最新段階,最新技術,到達水準を意味するとされる。国際版ウィキペディアによると,H.H.Supleeという人が西暦1910年に著した「Gus Turbine(ガスタービン)」という本ある,”In the present state of the art this is all that can be done.”という記述が初出だそうである。直訳すると,「現在の技術水準でやれることは全てやった」となる。

 安全工学の分野で,state of the artと言う場合,それは,「現在の技術水準に照らし十分な措置を講じたら,それでも発生した事故については不可抗力として免責される」という考え方を指すことになる。製造物責任法上も,開発危険の抗弁(製品を流通に置いた時点における科学技術の水準によって,製品に内在する欠陥を発見することが不可能な危険については,製造業者等は免責される抗弁)として,この考え方の一部が規定されている。

 この考え方は,機械を開発する技術者や製造者にとっては,都合の良いものであろう。他方,消費者側からは,異論があり得る。

 技術者や製造業者の立場から見れば,いくら消費者の期待と言っても,技術的に不可能な安全基準を要求されても困る,ということになろう。他方,消費者から見れば,「十分な措置」などという曖昧な規準で免責されることは許されない,との反論があろう。

 私のささやかなリーガルマインドに照らすと,適切な規準はstate of the artと「消費者期待規準」の中間点,あるいはそのどちらでもないところに求められるのであろう。(小林)

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