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2007年4月29日 (日)

音声付き監視カメラの目的

ロイター通信によると,イギリス内務省は,街頭での喧嘩,器物損壊やゴミのポイ捨てを「音声」で注意する監視カメラを全国20地域に設置すると発表したそうである。プライバシー保護団体はますます監視社会に近づくと警告しているそうだが,既に実験的に導入されている地域では,ポイ捨て減少などに効果を示しているとのことである。費用は50万ポンド,約1億2000万円だそうだ。

しゃべる監視カメラといっても,ロボットではない。担当職員がマイクとスピーカーを通じて音声を伝える仕組みであり,案外アナログである。

さて問題は,この仕組みが本当にポイ捨て防止のためなのか,という点である。いささか勘ぐりかもしれないが,私にはそうは思われない。この仕組みを導入する目的は,市民に監視カメラの存在を再認識させることにあるのではないか。

イギリスは,世界で最も監視カメラが設けられている国として知られ,現在の台数は推定420万台,イギリス人14人あたり1台になるそうである。これだけの台数を設置するのだから,設置費用も維持運営費も莫大なものであろう。これだけのコストをかけて監視カメラを導入するについては,その犯罪抑止力についても,それなりの期待があったはずである。

しかし,これだけ多数の監視カメラが設置されてしまうと,今度は「監視カメラ慣れ」が発生してしまうことが懸念される。あまりに監視カメラの数が多く,モニターを監視する職員の負担も大きいため,不正行為を撮影されたところで,モニターを見られていなければ同じじゃん,という心理が働くのだ。その結果,監視カメラの犯罪抑止効果が思ったほど上がらなくなってきたのではないか。

今回「音声」機能を監視カメラに付けることで,市民は,監視カメラの存在を再認識することになる。そして,監視カメラの向こうには警察官の目が光っていることを否応なく知らされることになる。それが,監視カメラの犯罪抑止効果を再度発揮させることにつながるというのが,政府の真の目的ではないだろうか。

そうであるとしても,それで犯罪が減るならいいじゃない,というのも一つの考え方であろう。しかし,一挙手一投足を常にモニターされている,と市民に意識させることは,良いことばかりではないと思う。(小林)

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2007年4月25日 (水)

日本経済新聞 どこへ行く

平成19年4月1日の日本経済新聞朝刊「風見鶏」に西田睦美編集委員の「法科大学院生どこへ行く」との論説が掲載された。要旨は,法科大学院が予定より多く誕生したために,当初7,8割と想定された新司法試験の合格率が48.3%になったこと,「専門家の試算」によれば,「2010年までに合格者を上限の3000人に増やす」と仮定した場合の合格率は20%台前半に留まること,合格しても,なかなか弁護士になれないという社会問題が発生していることから,法科大学院生の就職先として,弁護士など法曹以外に,企業の法務部や公務員などを視野に入れた検討を行うべきだ,というものである。また,4月2日の同紙には,青山学院大学の宮澤節生教授の発言として,各法科大学院が入学定員を削減するべきであるとの見解が紹介されている。

そもそも日本経済新聞は,司法試験の合格者を3000人に留めるどころか,もっと増やすべきだという立場で主張を展開してきた。合格者を3000人にすることについても,「上限ではない」と繰り返し主張してきている。上記論説は編集員個人の投稿という形式をとっているが,これらの記事をアドバルーンにして,日本経済新聞の立場が変節しようとしているのではないかと思われる。

「君子豹変す」との諺もある。主張が変節すること自体は責められるべきことではない。しかし,社会の公器である新聞は,なぜ変節するのかについて,説明責任がある。いつの間にか主張が変わっていましたでは済まないのである。このようなゴマカシがないように,われわれ読者としては,主張の変遷をチェックしておく必要がある。そこで,過去の社説を中心に,日本経済新聞の立場をご紹介しておくので,覚えておいて頂きたい。(小林)

²           気掛かりなのは、改革の実行が法曹三者の手に委ねられるにつれて内向きの発想が出始めたことだ。このままでは、せっかく出た法科大学院という新しい芽が枯死するおそれがある。法科大学院教育の充実度に合わせ、二〇一〇年ころに三千人という増員計画を前倒しで実現すべきだろう。「司法改革に魂入れる着実な実行を(社説)」2004/10/01

²            合格者数(〇四年実績千五百人弱)の増やし方について意見書にある「二〇一〇年ころには年間三千人を目指す」との目標は、法科大学院の学生がこれだけ集まったのだから、時期を前倒ししてよいのではないか。人数も上限と解釈するのはおかしいだろう。現制度から残存させる司法研修所での修習の受け入れ人数に限りがあるので合格者を増やせないなどというのは、本末転倒の議論だ。「新司法試験の門戸を広く(社説)」2004/11/28

²            新司法試験は、法科大学院修了者が法曹になるのに必要な知識・能力を身につけたかを見極める資格試験でなければならず、本来、合格者数を設定するのはおかしい。今回、司法試験委員会が「目安」について「概括的な数値で、試験結果に基づき、当然変動し得る」と注釈したのは改革の理念に沿うと評価できる。実際の試験に当たって「目安」を合格者枠ととらえないよう、柔軟な合否判定が求められる。「司法試験合格「枠」は柔軟に(社説)」2005/03/03

²            法科大学院の定員総数が制度設計時の想定よりも多く設置認可されたのが、合格率低下の主因なのは間違いない。しかし法曹養成制度を改革した狙いを今一度確認したい。それは、法曹を早期に大幅に増やすことであり、三千人という数字は「計画的にできるだけ早期に達成すべき目標であって、上限を意味しない」と改革審意見書に明記してある。「先祖返りするのか司法試験(社説)」2006/09/22

²            政府は2010年頃には、新旧併せた司法試験合格枠を現在の倍に当たる3000人まで増員する計画を打ち出しているものの、この程度の増員規模では日本は先進国中、人口比で法曹人口が最も少ない現状のまま。法科大学院関係者は3000人への増員の前倒し実施や、さらなる増員要求に動くべきではないだろうか。そして「身近な司法」を標榜する日弁連も、歩調を合わせるといいのだが・・・。「「裏切り」の司法改革」政治部 三宅伸吾(2006年10月25日)

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2007年4月21日 (土)

私邸に防犯カメラを設置する場合の法的問題点(5)

しつこくて恐縮だが,この件についてもう1点だけ,問題点を指摘しておきたい。

平成19年3月6日付のサンケイウェブによると,世田谷区成城署の指導で202世帯が405台の防犯カメラを各家庭に設置した結果,侵入盗(空き巣など)が平成17年の485件から,平成18年の266件に,約45%減少したという。どのような理由で泥棒が犯行をやめたのか,については検討の余地があるものの,この減少は偶然とは思われないから,防犯カメラ設置の一つの成果と見るべきこと,については前回までのブログに書いた。

今回問題としたいのは,平成19年以降の侵入盗数が揺り戻すのではないか,という危惧についてである。というのは,記事には,「映像が一助になり,犯人が逮捕された事件はひき逃げなど8件11人に上る」と書いてあるからだ。

犯罪認知件数が減ったとはいえ,成城所管内の犯罪認知件数は平成18年に3923件である。このうちたった8件,割合にして0.2%の検挙にしか,防犯カメラは役に立っていないのである。しかも,8件のうち1件はひき逃げであり,記事上,残り7件のうち2件はひったくりと落書き(器物損壊)である。つまり,平成18年に認知された侵入盗の件数266件のうち,防犯カメラのおかげで犯人逮捕に至ったのは,計算上,高々5件である。

ここでもう一度,「防犯カメラによって泥棒が犯行をあきらめる理由」を考えてみよう。その詳細はどのようなものであるにせよ,泥棒が防犯カメラによって犯行を諦める理由はただ一つ,逮捕されたくないからである。言い換えれば,防犯カメラに撮影されると,逮捕される危険が増すから,犯行を諦めるのである。ところが,防犯カメラを設置した後でも,266件の侵入盗のうち,最大でも5件しか犯人逮捕に至らない,割合にして約1.9%のリスクしかない,と分かったら,泥棒は犯行を諦めるであろうか。私が泥棒なら,この程度のリスクなら冒すと思う。そうなると,今後,防犯カメラの限界を見切った泥棒が出てきてもおかしくないのである。

もっとも,この仮説は,266件の侵入盗が発生した場所と,防犯カメラが設置された場所とを厳密に照らし合わさなければ,証明できない。この点は注意しなければならない。しかし,少なくとも確実なことは,新聞記事だからといって,あるいは警察の発表だからといって,数字を鵜呑みにしてはいけない,ということである。(小林)

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2007年4月17日 (火)

私邸に防犯カメラを設置する場合の法的問題点(4)

平成19年3月6日付のサンケイウェブによると,世田谷区成城署の指導で202世帯が405台の防犯カメラを各家庭に設置した結果,空き巣などの犯罪が大幅に減少したという。

記事によれば,住宅街への街頭防犯カメラの設置は,プライバシー問題から住民の抵抗があるため,進まなかった。そこで成城署は「防犯意識のある住民による主体的な(防犯カメラの)設置と管理」を行うことにした結果,上記のとおりの成果を上げたのだという。

今回問題としたいのは,プライバシーとの関係である。なぜ,防犯カメラの設置主体を警察ではなく,「防犯意識のある住民」にすれば,プライバシーの問題が解決できるのだろうか。ここでは,防犯カメラを設置したくない住民と,住民ではない一般の通行者のプライバシー問題は,完全に無視されている。防犯カメラを設置したくない住民は,新聞の言葉を借りれば「防犯意識の低い住民」だから,プライバシー権を主張する資格はないということだろうか。

このブログで私は,私邸に防犯カメラを設置する場合,家の回りの合理的な範囲であれば,公道や通行人が撮影の対象になっても差し支えないと書いた。その考えは今も変わっていない。しかし,成城に設置された防犯カメラの映像をWEBで見る限り,家の回りどころか,公道を俯瞰するような形で設置されている。本当にこのようなことをして良いのか,については,未だ議論が熟していないように思うがどうであろうか。

たしかに,住宅街と繁華街,商店街,大通りや駅前広場などは,同じ公共空間とは言っても,その程度に差があることは事実である。その意味で,住宅街をマンションのような独立空間とみなして,地域コミュニティによる一種の施設管理権が当該住宅街に及ぶと考えることも不可能ではない。しかし他方,住宅街とはいえ,公道は公道である。誰であっても,その街を通る権利がある。

また,防犯カメラの設置と管理を各住戸に任せることは良いことなのか,という問題もある。警察に任せるより良い,という意見もあろう。しかし,住戸によっては,毎日カメラをモニタリングして「3軒となりの奥さんは,ご主人が出張する日に限っておめかしして出かけているぞ。よしこの映像をDVDに録画してご主人に届けてやろう」と考えているかもしれない。別の人は,「見知らぬ男性がほぼ毎日,平日の昼間にお隣の庭を覗いている。きっと不審者だから,警察に通報しよう」と考えているかも知れない。その人は例えば職業的俳人で,その庭先に生えた福寿草の開花を楽しみに,毎日隣町から散歩に来ていたかもしれないのに,である。

オタク評論でも知られる哲学者の東浩紀氏は,「論座」という雑誌の2006年4月号で,「防犯カメラは住宅地に必要なのか」という文章を書いている。住宅街に防犯カメラを設置することは,外部の者に対する排除装置として働くことを危惧している。「ただぼーっと通学路に足っているだけで,不信人物として通報され監視員がやってくる,という光景は(昼間でもふらふらしている30代男性の筆者には)容易に想像がつく」と書いておられるが,この危惧は至極常識的なものと感じる。

この点に関する私自身の結論はまだないが,少なくとも,もうすこし世間の関心を集めてもよい問題である。(小林)

東浩紀氏のブログはこちら http://www.hirokiazuma.com/

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2007年4月13日 (金)

次世代ロボット安全性確保ガイドラインについて(1)

経済産業省は,次世代ロボット安全性確保ガイドライン案を策定し,平成19年5月8日まで,パブリックコメント受け付けている。

この件に関する経済産業省の報道資料によれば,「近年のロボット技術の急速な発達により、近い将来には人間とロボットが共存・協調する状況が予想されますが、その導入に当たっては安全性の確保が必要となります。このため、経済産業省は、「次世代ロボット安全性確保ガイドライン検討委員会」(委員長:向殿政男明治大学理工学部 学部長)における検討を踏まえ、人間と共存する次世代ロボットの安全性を確保するための基本的な考え方をまとめた「次世代ロボット安全性確保ガイドライン」案をとりまとめました。」ということである。また,本ガイドラインのポイントとしては,「用途や形状、使用者の属性等、多種多様であるため、本ガイドラインでは、次世代ロボットに共通した安全性確保のための基本的な考え方をとりまとめました。」とのことである。

私も,この検討委員会の末席を汚した身であるが,経済産業省がポイントとして示すように,一口にロボットといっても多種多様であり,これに共通したガイドラインの作成が可能であるのか,また,意味があるのか,については,委員会の中でも議論のあったところである。

そもそも,ロボットとは何か,について,明確な定義が存在しない。現在,経済産業省をはじめ,一般に使用されている定義としては,「センサー,制御系,駆動系の3つの技術要素を有する,知能化した機械」がロボットであるとされている。つまり,「自分で感じ,自分で判断し,自分で動く」知能化した機械がロボットである。しかし,この定義によれば,自動ドアも低級ながらロボットに該当するし,車線や車間距離等の道路情報を関知し自動運転する自動車もロボットである。逆に,鉄人28号や機動戦士ガンダムは自分で判断しないので,ロボットではない。

このような定義に照らすと,そもそも,ロボットを対象とした安全基準を策定する意味があるのか?という素朴な疑問が提起されることは自然であろう。自動ドアがロボットなら,自動ドアの安全基準があるし,自動車には自動車の安全基準が存在する。わざわざロボット独自の安全基準を策定しなくても,自動車の安全基準をロボット化した自動車に合わせて改訂すればよいのではないか,という意見は十分に成り立つ。

「次世代ロボット安全性確保ガイドライン検討委員会」においても,この点に関するいろいろな意見は出たものの,明確なコンセンサスを設けることはなく,ガイドライン案の策定を行った。但し,各委員のロボットに対するイメージがバラバラではいけないので,一応,愛知万博でも活躍した自動清掃ロボットを念頭に置いて議論することとなった。以上の次第で,ガイドラインにはロボットの定義規定が存在しない。

もっとも,ロボットの定義が困難だからといって,ロボットに共通するガイドラインを策定することに全然意味がないわけでもない。少なくとも,現在世界の先進国がしのぎを削っている次世代ロボット規格の標準化のイニシアチブを我が国が取るためには,このようなガイドラインを早急に確定する必要があることもまた,間違いないところである。(小林)

経済産業省の関連ページはこちら http://www.meti.go.jp/feedback/

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2007年4月 9日 (月)

私邸に防犯カメラを設置する場合の法的問題点(3)

 

 前回記載したとおり,新聞報道によれば,世田谷区成城署が主導して合計400台以上の防犯カメラを私邸に設置した結果,車上狙い-65%,侵入盗-45%など,明らかに犯罪認知件数が減少したそうである。もっとも,この報道をそのまま受け入れる前に,何点か注意するべき点があると思われる。

 第一に注意するべき点は,上記表に列挙されている犯罪の種類は5種類であり,その合計は800件余りなのに,全刑法犯は4394件ある点だ。つまり,この表には全刑法犯の約5分の1しか掲載されていないことになる。そして,全体の減少割合は11%に過ぎない。もっとも,上記表にでていない刑法犯のうち,多くは交通事故(業務上過失致死傷罪)と思われる。これは防犯カメラの犯罪抑止効果とは無関係だから,11%という数字には余り意味がないと考えるべきかもしれない。

第二に,上記表に掲載されている5罪のうち,「防犯カメラの設置の効果として」減少した犯罪はどれか,についてである。というのは,一見して,「侵入盗」と「車上狙い」の減少率が高いのに,「ひったくり」と「性犯罪」の減少率は比較的低い点だ。一般には,防犯カメラの抑止効果は,ひったくりや性犯罪の方が高いと指摘されているからである。ちなみに「強盗」の減少率は50%と高いが,実数で比較すると5件少なくなっただけなので,これだけでは何とも判断できないというほか無いだろう。

実は,街頭防犯カメラシステムの設置によって「侵入盗」が減少するという現象は,新宿歌舞伎町に日本で初めて街頭防犯カメラシステムが設置されたときにも観察されている。この報道を聞いたときは,「なぜ,繁華街の街頭に防犯カメラを設置すると,侵入窃盗が減少するのだろう」と疑問に思った。唐草模様の風呂敷をしょって路上を歩くのでもないかぎり,街頭防犯カメラシステムと侵入盗は関係ないように思えたからだ。しかし,45%をこえる減少率は明らかに有意的であり,防犯カメラと何の関係もなく減少したとは思われない。

私は統計学の専門家でも犯罪学の専門家でもないが,このような仮説は可能ではないだろうか。すなわち,「性犯罪」が衝動的犯罪であるとするなら,「侵入盗」は,職業的犯罪といえる。成功には技能が必要であり,慎重かつ計画的に遂行しなければ,娑婆で生き残っていくことはできない。このような職業的犯罪者は,おそらく,「成城の住宅街に防犯カメラシステムが導入される」というニュースを聞いただけで,その周辺で「仕事」するのを断念したのではないだろうか。また,プロの泥棒は警察にある程度顔が割れているので,侵入するところが撮影されなくても,下見のためにうろついただけで,警察に目が付けられる可能性がある。このような事情から,防犯カメラ設置のニュースは,結果としてプロの泥棒を遠ざけたのではないだろうか。一方,侵入盗のような職業的犯罪に対して,「ひったくり」は,成功にある程度の技能が必要ではあるものの,侵入盗ほどではなく,むしろ,いつどこで被害者とめぐりあうかという「タイミング命」のところがある犯罪なので,防犯カメラがあるから犯行を断念する,というところまで行かないとは考えられないだろうか。侵入盗とひったくり犯との年齢差も興味のあるところである。おそらく侵入盗犯は40歳代以上,ひったくり犯は20歳前後と予想するが,どうだろう。

このような仮説が成立するとするなら,「侵入盗」は,防犯カメラの直接の効果として減少したのではなく,「防犯カメラがこの地域に設置される」というニュースの効果として減少したことになる。そうであるとしても,もちろん,結果として防犯カメラが設置されたからこそ減少効果があらわれたわけではある。しかし,いずれであるかによって,数年後の減少率が異なってくる可能性はあろう。その意味でも,この種の追跡調査は,数年をかけてじっくり行うことが必要と考える。(小林)

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2007年4月 5日 (木)

私邸に防犯カメラを設置する場合の法的問題点(2)

 以前,このブログで,一戸建ての私邸に防犯カメラを設置する場合,撮影範囲について書いたことがある。このときは,合理的な範囲なら,家の周りの道や通行人が写ってもかまわない,また,他人の家の玄関や窓や庭が写り込んでしまう場合には,その家の住人に承諾を求めるべきである,と書いた。

しかし,世の中はもっと進んでいるようである。

東京都の高級住宅街を管轄下におく世田谷区成城署は,防犯カメラの設置を推奨しており(設置費用は各家庭持ち),報道によると,平成19年3月現在,設置台数は管内202カ所で405台になったということである。「202カ所で405台」という数字の関係がおもしろい。各家庭2台ずつ設置させているのであろう。この点にも,警察署が具体的な設置方法を細かく指導している様が伺える。さて,このような防犯カメラの効果には,犯罪の前後で分けると,犯罪を予防する効果と,起きてしまった犯罪の犯罪者を検挙する効果とが考えられる。この点はどうであろうか。まず犯罪予防効果に関して,平成19年3月6日付SankeiWEBに掲載された成城署の認知件数と犯罪被害金額の推移は,次の通りである。

成城署管内の犯罪認知件数

 

平成17

18

増減

侵入盗

485

266

-45%

車上狙い

253

88

-65%

ひったくり

108

102

-6%

性犯罪

26

18

-31%

強盗

10

5

-50%

全刑法犯

4394

3923

-11%

同所管内の犯罪被害額

 

平成17

18

増減

侵入盗

\262,128,000

\112,995,000

-57%

車上狙い

\19,032,000

\6,593,000

-65%

ひったくり

\14,294,000

\10,088,000

-29%

強盗

\1,876,000

\97,000

-95%

全刑法犯

\297,330,000

\129,773,000

-56%

1年目の統計であることや,統計の取り方について検証の余地はあるものの,少なくとも,上記の数字に表れた限りでは,かなり顕著な犯罪認知件数の減少があったといえるであろう。

つぎに犯罪の検挙に関して,上記報道によると,「映像が一助となり,犯人が逮捕された事件はひき逃げなど8件11人に上る」とのことである。こちらは,前年と比較できないのはやむを得ないとしても,成城署管内の全刑法犯4394件中8件という数字が多いのか少ないのか,よく分からない。そもそもひき逃げは刑法犯ではないし。

この報道はいろいろなことを考えさせるが,続きは次回に。(小林)

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2007年4月 1日 (日)

ヒューマノイド規制法について(2)

このブログで以前,「10年ないし20年先には,『ヒューマノイド規制法』と称する法体系が登場するのではないか」と述べたが,この予想は,案外早く実現しそうだ。ただし,お隣の韓国においてである。

韓国産業資源部(日本でいうと経済産業省か?)のホームページによると,「産業資源部が、ロボット産業が目指すべきロボット技術や倫理的問題、製作者の倫理、ロボットの改造・破壊などと関連したユーザーの倫理を盛り込んだロボット倫理憲章を年内に制定、公表する。 少子高齢化など、社会構造が変化し、多様な知能サービスロボットが登場する中、人間とロボットのパートナー関係に対する認識を高め、未来のロボット需要を創出するのが狙い。 また、科学技術の発達でロボットの学習能力が向上し、自ら判断して行動する知能ロボットの時代が到来すると予想されることから、ロボットの役割と機能に関する倫理的なガイドラインを提示するため。」とのことである。

人間とヒューマノイドとの間には,「不気味の谷」と呼ばれるギャップがあり,これが,将来,ヒューマノイドが広範に普及する妨げになる可能性は,日本においても指摘されてきた。韓国政府は,「ロボット倫理憲章」の策定を通じて,人間のロボットに対する潜在的な嫌悪感を取り除き,ロボット普及の手助けを使用というのであろう。

いかにも儒教の国らしいという感想もあり得るが,人間とロボットが感情面において,どのようにつきあうかという問題は,韓国に限らず,世界全般における文化と宗教の問題である。日本が次世代ロボット技術で世界をリードしたいと考えるのであれば,人間とヒューマノイドの間を取り持つ文化的・宗教的方策を研究することは必要不可欠であろう。しかし,私の知る限り,日本の政府機関がそのような研究に着手したという話は聞かない。

韓国産業資源部のホームページはこちら http://japan.mocie.go.kr/language/jap/about/news_view2.jsp

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