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2007年4月13日 (金)

次世代ロボット安全性確保ガイドラインについて(1)

経済産業省は,次世代ロボット安全性確保ガイドライン案を策定し,平成19年5月8日まで,パブリックコメント受け付けている。

この件に関する経済産業省の報道資料によれば,「近年のロボット技術の急速な発達により、近い将来には人間とロボットが共存・協調する状況が予想されますが、その導入に当たっては安全性の確保が必要となります。このため、経済産業省は、「次世代ロボット安全性確保ガイドライン検討委員会」(委員長:向殿政男明治大学理工学部 学部長)における検討を踏まえ、人間と共存する次世代ロボットの安全性を確保するための基本的な考え方をまとめた「次世代ロボット安全性確保ガイドライン」案をとりまとめました。」ということである。また,本ガイドラインのポイントとしては,「用途や形状、使用者の属性等、多種多様であるため、本ガイドラインでは、次世代ロボットに共通した安全性確保のための基本的な考え方をとりまとめました。」とのことである。

私も,この検討委員会の末席を汚した身であるが,経済産業省がポイントとして示すように,一口にロボットといっても多種多様であり,これに共通したガイドラインの作成が可能であるのか,また,意味があるのか,については,委員会の中でも議論のあったところである。

そもそも,ロボットとは何か,について,明確な定義が存在しない。現在,経済産業省をはじめ,一般に使用されている定義としては,「センサー,制御系,駆動系の3つの技術要素を有する,知能化した機械」がロボットであるとされている。つまり,「自分で感じ,自分で判断し,自分で動く」知能化した機械がロボットである。しかし,この定義によれば,自動ドアも低級ながらロボットに該当するし,車線や車間距離等の道路情報を関知し自動運転する自動車もロボットである。逆に,鉄人28号や機動戦士ガンダムは自分で判断しないので,ロボットではない。

このような定義に照らすと,そもそも,ロボットを対象とした安全基準を策定する意味があるのか?という素朴な疑問が提起されることは自然であろう。自動ドアがロボットなら,自動ドアの安全基準があるし,自動車には自動車の安全基準が存在する。わざわざロボット独自の安全基準を策定しなくても,自動車の安全基準をロボット化した自動車に合わせて改訂すればよいのではないか,という意見は十分に成り立つ。

「次世代ロボット安全性確保ガイドライン検討委員会」においても,この点に関するいろいろな意見は出たものの,明確なコンセンサスを設けることはなく,ガイドライン案の策定を行った。但し,各委員のロボットに対するイメージがバラバラではいけないので,一応,愛知万博でも活躍した自動清掃ロボットを念頭に置いて議論することとなった。以上の次第で,ガイドラインにはロボットの定義規定が存在しない。

もっとも,ロボットの定義が困難だからといって,ロボットに共通するガイドラインを策定することに全然意味がないわけでもない。少なくとも,現在世界の先進国がしのぎを削っている次世代ロボット規格の標準化のイニシアチブを我が国が取るためには,このようなガイドラインを早急に確定する必要があることもまた,間違いないところである。(小林)

経済産業省の関連ページはこちら http://www.meti.go.jp/feedback/

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