私邸に防犯カメラを設置する場合の法的問題点(2)
以前,このブログで,一戸建ての私邸に防犯カメラを設置する場合,撮影範囲について書いたことがある。このときは,合理的な範囲なら,家の周りの道や通行人が写ってもかまわない,また,他人の家の玄関や窓や庭が写り込んでしまう場合には,その家の住人に承諾を求めるべきである,と書いた。
しかし,世の中はもっと進んでいるようである。
東京都の高級住宅街を管轄下におく世田谷区成城署は,防犯カメラの設置を推奨しており(設置費用は各家庭持ち),報道によると,平成19年3月現在,設置台数は管内202カ所で405台になったということである。「202カ所で405台」という数字の関係がおもしろい。各家庭2台ずつ設置させているのであろう。この点にも,警察署が具体的な設置方法を細かく指導している様が伺える。さて,このような防犯カメラの効果には,犯罪の前後で分けると,犯罪を予防する効果と,起きてしまった犯罪の犯罪者を検挙する効果とが考えられる。この点はどうであろうか。まず犯罪予防効果に関して,平成19年3月6日付SankeiWEBに掲載された成城署の認知件数と犯罪被害金額の推移は,次の通りである。
成城署管内の犯罪認知件数 | |||
|
平成17年 |
18年 |
増減 |
侵入盗 |
485 |
266 |
-45% |
車上狙い |
253 |
88 |
-65% |
ひったくり |
108 |
102 |
-6% |
性犯罪 |
26 |
18 |
-31% |
強盗 |
10 |
5 |
-50% |
全刑法犯 |
4394 |
3923 |
-11% |
同所管内の犯罪被害額 | |||
|
平成17年 |
18年 |
増減 |
侵入盗 |
\262,128,000 |
\112,995,000 |
-57% |
車上狙い |
\19,032,000 |
\6,593,000 |
-65% |
ひったくり |
\14,294,000 |
\10,088,000 |
-29% |
強盗 |
\1,876,000 |
\97,000 |
-95% |
全刑法犯 |
\297,330,000 |
\129,773,000 |
-56% |
1年目の統計であることや,統計の取り方について検証の余地はあるものの,少なくとも,上記の数字に表れた限りでは,かなり顕著な犯罪認知件数の減少があったといえるであろう。
つぎに犯罪の検挙に関して,上記報道によると,「映像が一助となり,犯人が逮捕された事件はひき逃げなど8件11人に上る」とのことである。こちらは,前年と比較できないのはやむを得ないとしても,成城署管内の全刑法犯4394件中8件という数字が多いのか少ないのか,よく分からない。そもそもひき逃げは刑法犯ではないし。
この報道はいろいろなことを考えさせるが,続きは次回に。(小林)
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