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2007年4月25日 (水)

日本経済新聞 どこへ行く

平成19年4月1日の日本経済新聞朝刊「風見鶏」に西田睦美編集委員の「法科大学院生どこへ行く」との論説が掲載された。要旨は,法科大学院が予定より多く誕生したために,当初7,8割と想定された新司法試験の合格率が48.3%になったこと,「専門家の試算」によれば,「2010年までに合格者を上限の3000人に増やす」と仮定した場合の合格率は20%台前半に留まること,合格しても,なかなか弁護士になれないという社会問題が発生していることから,法科大学院生の就職先として,弁護士など法曹以外に,企業の法務部や公務員などを視野に入れた検討を行うべきだ,というものである。また,4月2日の同紙には,青山学院大学の宮澤節生教授の発言として,各法科大学院が入学定員を削減するべきであるとの見解が紹介されている。

そもそも日本経済新聞は,司法試験の合格者を3000人に留めるどころか,もっと増やすべきだという立場で主張を展開してきた。合格者を3000人にすることについても,「上限ではない」と繰り返し主張してきている。上記論説は編集員個人の投稿という形式をとっているが,これらの記事をアドバルーンにして,日本経済新聞の立場が変節しようとしているのではないかと思われる。

「君子豹変す」との諺もある。主張が変節すること自体は責められるべきことではない。しかし,社会の公器である新聞は,なぜ変節するのかについて,説明責任がある。いつの間にか主張が変わっていましたでは済まないのである。このようなゴマカシがないように,われわれ読者としては,主張の変遷をチェックしておく必要がある。そこで,過去の社説を中心に,日本経済新聞の立場をご紹介しておくので,覚えておいて頂きたい。(小林)

²           気掛かりなのは、改革の実行が法曹三者の手に委ねられるにつれて内向きの発想が出始めたことだ。このままでは、せっかく出た法科大学院という新しい芽が枯死するおそれがある。法科大学院教育の充実度に合わせ、二〇一〇年ころに三千人という増員計画を前倒しで実現すべきだろう。「司法改革に魂入れる着実な実行を(社説)」2004/10/01

²            合格者数(〇四年実績千五百人弱)の増やし方について意見書にある「二〇一〇年ころには年間三千人を目指す」との目標は、法科大学院の学生がこれだけ集まったのだから、時期を前倒ししてよいのではないか。人数も上限と解釈するのはおかしいだろう。現制度から残存させる司法研修所での修習の受け入れ人数に限りがあるので合格者を増やせないなどというのは、本末転倒の議論だ。「新司法試験の門戸を広く(社説)」2004/11/28

²            新司法試験は、法科大学院修了者が法曹になるのに必要な知識・能力を身につけたかを見極める資格試験でなければならず、本来、合格者数を設定するのはおかしい。今回、司法試験委員会が「目安」について「概括的な数値で、試験結果に基づき、当然変動し得る」と注釈したのは改革の理念に沿うと評価できる。実際の試験に当たって「目安」を合格者枠ととらえないよう、柔軟な合否判定が求められる。「司法試験合格「枠」は柔軟に(社説)」2005/03/03

²            法科大学院の定員総数が制度設計時の想定よりも多く設置認可されたのが、合格率低下の主因なのは間違いない。しかし法曹養成制度を改革した狙いを今一度確認したい。それは、法曹を早期に大幅に増やすことであり、三千人という数字は「計画的にできるだけ早期に達成すべき目標であって、上限を意味しない」と改革審意見書に明記してある。「先祖返りするのか司法試験(社説)」2006/09/22

²            政府は2010年頃には、新旧併せた司法試験合格枠を現在の倍に当たる3000人まで増員する計画を打ち出しているものの、この程度の増員規模では日本は先進国中、人口比で法曹人口が最も少ない現状のまま。法科大学院関係者は3000人への増員の前倒し実施や、さらなる増員要求に動くべきではないだろうか。そして「身近な司法」を標榜する日弁連も、歩調を合わせるといいのだが・・・。「「裏切り」の司法改革」政治部 三宅伸吾(2006年10月25日)

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