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2007年5月27日 (日)

リスクアセスメントと裁判(2)

リスクアセスメントとは,「リスクを分析し,評価し,低減することを繰り返す手順」である。

この考え方の重要な第2点は,「リスク分析→評価→低減の繰り返し」という手順の中身を明示している点だ。

安全工学の権威である明治大学の向殿政男教授も指摘しているとおり,機械や設備の安全を実現する手法として,従来も,各企業では,リスクアセスメントは実施されていた。ただ,その手順の中身が,各企業の伝統と特殊性に培われた多種多様なものとなっており,一般性が無かったのである。

リスクアセスメントが安全性実現の手順と中身を示し,しかも,リスクアセスメントの国際規格が成立しつつあるということは,安全を実現する手法について,各企業が共通の言語を持ったということを意味する。これは,企業間,あるいは国家間でリスクアセスメントを共通の話題にすること,その中で,互いの情報を交換できることを意味する。これらが全体として,機械や設備の安全性向上に大いに貢献するであろうことは言うまでもない。

さて,リスクアセスメントが標準化するということは,裁判の世界との関係では,何を意味するであろうか。

間違いなくいえることは,リスクアセスメントを十分に実行したことが立証できなければ,企業は裁判で必ず負ける,ということである。企業は,実際にリスクアセスメントを十分に実行するだけではなく,十分に実行したということを,法廷で証明できなければならない。

では,企業がリスクアセスメントを十分に実行したことを立証すれば,裁判では必ず勝つであろうか。残念ながら,直ちにそうは言えないと思う。この点については,私自身勉強不足なので,別の機会に詳細に論じてみたい。いずれにせよ,「安全工学」の進歩に応じて,法律の世界でも,「安全法学」という分野が登場してもよいと思ったりする。(小林)

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