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2007年5月13日 (日)

次世代ロボット安全性確保ガイドラインはロボット法か?

経済産業省がパブリックコメントを募集している「次世代ロボット安全性確保ガイドライン(案)」に関して,小椋一宏氏(株式会社ホライズン・デジタル・エンタープライズ代表取締役)が「本物のロボット三原則?」と題して,「SF好きの私としては、やはりアシモフのロボット三原則や、鉄腕アトムに出てくるロボット法のように、「ロボットは人間を傷つけたり殺したりしてはいけない」というようなものをどこかで期待していたのだが、残念ながら、現代のロボットはまだ自律的な知能を持っているとはいえないので(無理か)」という趣旨のブログを書いておられる。この文章から推測すると,小椋氏は,ロボットが自律的な知能を持てば,ロボット法が制定されうると理解しているようだが,残念ながらこの理解は正確でない。ロボットが自律的な知能を持っただけでは,ロボット法が制定されることはない。

法は,法規範とも呼ばれるとおり,規範の一種である。規範とは,要するに社会生活上のルールのことで,法規範以外にも,宗教規範や倫理規範,社会規範などがあり,それぞれに,守ることが期待されている。

規範の特質の一つは,守ることも,破ることもできる点にある。あなたが白昼,北海道の草原をドライブしているとき,赤信号に出会ったとしよう。5キロ四方に自動車はおろか,人っ子一人いないことが分かっているあなたは,信号を無視することもできる。しかし信号に従って停車させるのは,道路交通法という規範に従う選択をしたからだ。このように,守ることも破ることもできることが規範の特質であり,守ることができないルールや,破ることができないルールは規範ではない。

ところで,ロボット3原則の第1条には,「ロボットは人間に危害を加えてはならない」と規定されている。この規定はプログラムという形でロボットに与えられることになるのだろうが,少なくとも現在のところ,ロボットがプログラムに違反する選択をすることは不可能である。このことは,近い将来,自律的な知能を備えた次世代ロボットが登場しても同様であろう。そうである限り,プログラムは,これを破ることができないのだから,規範ではなく,法でもない,ということになる。

それでは,ロボット法が制定されるのは,ロボットがどの程度「進化」した段階になるのだろうか。ロボット3原則の第1条についていえば,人間に危害を加えるという選択も,加えないという選択も,ロボット自身の判断で可能になったときには,ロボット3原則の第1条が制定されることになる。制定されなければ,ロボットと人間の共生は不可能になるであろう。(小林)

小椋一宏氏のブログはこちら http://blogs.itmedia.co.jp/ogura/2007/04/post_7a73.html

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