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2007年8月28日 (火)

警視庁八王子署が街頭防犯カメラ1000台設置計画

平成19年8月24日付毎日新聞によると,「警視庁八王子署が街頭防犯カメラを取り付けるよう一部住民に協力を呼びかけ、09年度までの3カ年で1000台設置の計画を進めていることが分かった。『街の安全』を掲げて商店街や国道沿いの個人宅を中心に取り組みを強化しているが、管内の住民には計画を正式に広報しておらず『監視社会を助長する』と批判の声も上がっている」とのことである。

すでにこのブログでも何回も書いているが,私は,街頭防犯カメラ設置そのものに反対するものではない。直ちに監視社会を助長するというつもりもないし,すぐ戦争になると主張する人たちにも賛成できない。しかし,適正なルール無き街頭防犯カメラの増殖には反対である。そして,適正なルールとは,そのルール自体と運用の有様が公開されていなければならない。

記事によれば,「八王子署では『画像は事件以外に使うことはあり得ない。プライバシーにも十分配慮する』と話している」。

つまり「信頼してくれ」と言っているわけだが,街頭防犯カメラシステムは相互不信のシステムであるから,「信頼してくれ」というだけでは駄目である。

警察が自ら街頭防犯カメラを設置せず,地域住民にやらせるのは,二つの理由がある。一つは予算の問題だろう。もっとも,未確認だが,住民にカメラをリースする業者と警察は密接につながっていると想像する。もう一つの理由は,最高裁判所大法廷の判決によって,警察が公道を撮影することは,現に犯罪が行われているか,その直前または直後である場合に限定されているからだ。だから警察は自らカメラを設置しないということだろうが,警察がやって駄目なことを民間人がやって良いのだろうか? 少なくともきちんと議論がなされているのだろうか。

街頭防犯カメラの導入については,さまざまな議論があるし,それが今熟しているとは思えない。また,議論が熟するのを待てないほど,一般的に事態が切迫しているとも思えない。犯罪白書が示すとおり,ここ数年,日本の治安は良くなる方向にあるのだ。(小林)

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コメント

犯罪の抑止および捜査での手がかりとなるのであれば、早期の設置を望む一市民です。
街頭防犯システムについて「現時点はその必要性はない」と読み取りました。ナゼでしょう? 治安がよくなっているとも言われてますがどのようなデータの元での分析でしょう?
各メディアからは人として心が痛む事件が常に発生していることが伝えられておりその度に今の技術水準では難しい話ではないだろうに・・・・と考えています。
一体、導入したら何がネックいなるのか?まじめに生活しているほとんどの市民にはデメリットがなんであるのかが、全くもってわかりません。

投稿: 亜不 | 2009年11月 8日 (日) 13時16分

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