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2007年9月 3日 (月)

「司法試験合格者3千人、多すぎる」 法相が「私見」

第二次安倍内閣の鳩山法務大臣が,平成19年8月31日,記者団のインタビューに「毎年司法試験合格者が3000人増えるのはちょっと多すぎるのではないか」と発言したとのことである。同日のasahi.comや,翌9月1日の日本経済新聞に掲載されていた。「法科大学院の現状についても『的低下を招く可能性がある』と述べ、現在の政府の計画に疑問を呈した。」とのことである。あくまで「私見」と断っての発言ではあるが,鳩山法務大臣はもともと文教族であり,法科大学院にも影響力がある人だから,この発言は重いと見るべきだろう。

2チャンネルでも相当話題になっており,発言から1日も経っていないのに,投稿が1000を超えたスレッドもある。

9月1日現在では鳩山法務大臣の発言を紹介しただけの日本経済新聞であるが,同新聞は立場上,この発言に猛反発しなければならないはずだ。それとも,時流を読んで立場を変遷するつもりだろうか。注視していきたい。

鳩山法務大臣の発言の背景には,もちろん,司法修習生の就職難がある。2007年問題といわれた今年は,予想ほど悪くはないにせよ,現時点で100名前後の修習生が就職先を見つけられずにいると見られている。これ以外に,2回試験に合格できず,司法研修所を卒業できずに就職浪人する司法修習生が100人から150人くらいでる可能性がある。これらを単純に合計して良いかはやや疑問ではあるが,仮に単純合計すれば,司法修習生の1割以上が浪人する計算となる。

浪人しなかった修習生も,全員が幸福な就職をしたとは限らない。就職を焦るあまり不本意な事務所に就職した若手弁護士は,数ヶ月から1,2年でその事務所を飛び出してしまう。実数は誰も把握していないが,就職後1年前後で事務所を辞める若手弁護士の数はおそらく増えている。これらの若手弁護士は,後に続く修習生の就職活動のライバルになるから,就職難はますます加速する。

大阪弁護士会には司法修習生の就職難問題に取り組む委員会がある。いま検討しているのは,大阪にある約1500の法律事務所の8割以上を占める「弁護士一人事務所」を一軒一軒回って,「修習生を採用して下さい」と頼んで歩こうか,という問題だ。しかし,普通に考えて,イソ弁を採用したい弁護士は,頼まれなくても採用するだろうし,一軒一軒頼んで歩くことに多少の効果が見られるとしても,2,3年で限界に達することは明白である。そのようなわけで,この問題に積極的に賛成する委員はいない。法律事務所に採用されなかった修習生を企業や地方公共団体に就職させるという考えもあるが,企業や公共団体としても,どこにも就職できないような修習生は採用したくないだろう。

日弁連にもいろいろな立場があるが,本流とされている立場は,司法試験合格者3000人体制の到来を前提としている。中坊公平氏らが旗振り役となって,大騒動の末3000人を容認した手前,弁護士会内で3000人の削減を語るのはタブーという雰囲気さえある。その中での鳩山法務大臣の発言であるが,日弁連も,ぼやぼやしているとはしごを外される可能性がある。

いまの修習生や,ロースクール生の中には,一流企業に就職していい給料をもらっている大学同期を横目にして,自分の人生の選択を後悔している人も少なくないであろう。私自身も大学入試制度改革に振り回された世代であるが,彼らを本当に気の毒だと思う。(小林)

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