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2007年10月 5日 (金)

次世代ロボットの誤使用による法的責任について(1)

次世代ロボットのユーザーが,誤使用によって損害を被った場合でも,メーカーが責任を負う場合がある。PL法(製造物責任法)の条文に即して言うと,ご使用の場合でも,「欠陥」が無い,とはいえない。これは,メーカー側からは不当に不利なルールのように見える。

誤使用であってもメーカー等が免責されないのは何故か。この点は,法律の教科書にとって当たり前すぎるからなのか,明記する文献が見あたらない。その実質的理由は,おそらく,メーカーが誤使用の範囲を広く(=正常使用の範囲を狭く)定めてさえおけば免責されるのは不公平だ,という点にある。

別の言い方をするなら,「人間は必ず過ちを犯す生物である以上,その人間に製品を売って利益を得ているメーカー等は,人間がミスを犯すことを念頭に置いて製造する責任がある」という考え方であるともいえる。ここに「過ち」とは,間違いでないと思って犯す過ちや,間違いであると知りながら犯す過ち,そして,間違いであるか否かが分からないまま犯す過ちを含む。機械を取り扱う人間は,かように頼りない存在であるということだ。

さて,ユーザーの誤使用でもメーカー等が責任を負う場合があるとすると,問題は,「責任を負う誤使用」と「免責される誤使用」の境界線はどこか,ということになる。これがはっきりしないと,メーカーやその設計者は常に不安にさらされることになる。

この境界線を画する規準として,「合理的に予見可能か否か」を掲げる文献もあるが,適切とはいえない。例えば,手芸家が文化包丁で紙粘土を切断中,刃先が滑って手に怪我をしたとする。食品以外の者を切るのは「誤使用」かもしれないが,この程度の誤使用は合理的に十分予見可能である。しかし,だからといって包丁に「欠陥」があるとか,包丁メーカーが法的責任を負うことはない。

製造物責任法2条は,その「①製造物の特性,②通常予見される使用形態,③製造物引渡の時期,④その他の事情を考慮して,通常有するべき安全性を欠く」ことが「欠陥」であると定義している。先ほどの包丁の例で言うと,鋭利な刃物であることは包丁として無くてはならない特性であるから,それをもって安全でないとはいえない,と説明される。これは専ら①の要件からの説明であるが,これら①~④の要件は,論理的に前後関係に立ったり,優劣関係に立ったりするわけではなく,相互に作用し合いながら微妙なさじ加減で判断される。この辺りが,理系の方々にはなじみにくいところかもしれない。(続)(小林)

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