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2007年11月15日 (木)

山田洋行元専務,宮崎元伸氏の「横領罪」逮捕と検察庁の狙いは?

先日テレビのニュースを見ていたら,日本ミライズ社に捜索に入る東京地検特捜部ご一行様の先頭に,司法研修所同クラスの男がいてびっくりした。そういえば,村上ファンド代表者,村上世彰氏の公判立会検事も同期の友人であった。どちらの検事の結婚披露宴にも私は友人として出席させて頂いた…って,自慢にもならないか。特捜検事は検事になって15年になる今頃が働き盛りなのかもしれない。友人の検事らの奮闘と活躍を期待します。

とはいえ,弁護士の立場から見ると,宮崎元伸氏の横領罪云々については,報道されている範囲のその一部しか知らないが,やや疑問に思う点もある。

報道によれば,宮崎元伸氏は山田洋行の重役として,20年前から守屋氏をはじめ複数の防衛庁幹部を接待漬けにしたそうである。そして山田洋行は,後発の中小商社でありながら,防衛庁出入り業者としてめざましい躍進を遂げた。山田洋行の躍進と接待が無関係と考える人は誰もいないだろうし,公訴時効の問題など,立証上の困難を別にすれば,賄賂に当たると疑われて当然だろう。

問題は,山田洋行が20年前から防衛庁幹部を接待漬けにした資金は,どのように捻出されたかということである。これは想像だが,今回宮崎氏について報道されているのと同様の工作によって「裏金」が捻出され,これが接待に使用されたと思われる。そうだとすれば,宮崎氏の「悪事」として報道されている事実のうち,「裏金」の捻出それ自体は山田洋行も了承済のことであったことになる。ただ,捻出した「裏金」を,宮崎氏が山田洋行のためではなく,日本ミライズの利益のために使用した,という1点が,山田洋行からすれば「裏切り」にあたることになり,東京地検はこれを「業務上横領」ととらえて強制捜査に踏み切ったことになる。言い換えれば,宮崎氏は裏金を山田洋行の利益のために守屋氏の接待に使えば今回逮捕されなかったのに,日本ミライズの利益のために使ったから逮捕された,ということだ。

法理論的には,たしかにこれは業務上横領だろう。しかし,たとえは悪いがマフィアの会計係がヤミの資金を横領したようなものであり(映画でいうと,「リーサルウェポン2」や「ミッドナイトラン」に,マフィアのマネロン用の裏金を横領して命を狙われる会計係が出てきますね),このような場合の会計係にどの程度の実質的な可罰性があるかは疑問である。日本国民にとって重要なのは,一企業の元専務が会社の裏金を横領したか否かではなく,その企業と防衛庁との間に「黒い癒着」があったか否かであろう。

このように考えてくると,今回宮崎専務が逮捕されたことにより,検察庁の狙いが透けて見えてくるような気がする。

今回宮崎元専務が「業務上横領」罪で逮捕されたことにより,山田洋行は,純粋の「被害者」として,一連の刑事手続に登場することになる。このことは,裏を返せば,山田洋行は,それ以前の裏金作りとその使途についてはお咎めを受けないことを条件に,「被害者」として検察庁に協力するとの約束がなされたことを意味する。これを検察庁の側から言い換えれば,検察庁は,山田洋行が従来行ってきた防衛庁幹部への「賄賂」疑惑を不問に付すかわりに,宮崎・守屋ルートの解明に協力するとの約束を,山田洋行から取り付けたことになる。

この想像が的を射ているとすれば,今回の「守屋事件」は,宮崎元専務と守屋元次官という個人間の贈収賄事件に矮小化されて「それ以上」には行かず,「山田洋行」と「防衛庁」という組織間の贈収賄事件や,「山田洋行」と「防衛族の政治家」という疑獄事件には発展しない可能性が高い。一時,久馬前防衛大臣を始め,歴代防衛庁長官となった政治家の名前が取りざたされたが,現在この手の報道が終息していることも,私の悲観的な予想を裏付けている気がする。本件が「山田洋行」と「防衛庁」という組織間の贈収賄事件や,政治家を巻き込んだ大事件に発展するためには,宮崎元専務は「山田洋行の専務として」「守屋氏に贈賄した」容疑で逮捕立件されることが必要であるし,その場合,山田洋行の社長も逮捕を免れないであろう。逆に言えば,「山田洋行の専務としての贈賄罪」(「日本ミライズの社長としての贈賄罪」ではダメ)で宮崎元専務が再逮捕されるか否かが,本件が「第2のロッキード事件」に化けるか否かのポイントになると思う。(小林)

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