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2008年1月19日 (土)

住基カードの偽造横行

住基カードの偽造が横行しているらしい。新聞報道によれば、住基カードが偽造され、携帯電話の契約や銀行口座の開設に悪用されるケースが2007年度、総務省の調査により全国で計50件確認されたとのことである。もちろん、この50件は氷山の一角であろう。

ご承知かもしれないが、住基カードはいくつかの情報が印刷されたカード部分と、内蔵されたICチップ部分とがあり、今回偽造の横行が明らかとなったのは、カード部分の偽造である。このカード部分には「氏名、有効期限、交付地市町村名」のみが記載されたAバージョンと、これ以外に「住所、生年月日、性別、写真」が記載されたBバージョンとがあり、今回偽造の対象になったのはBバージョンであろう。

この件で、総務相は遅まきながら偽造防止対策に乗り出したそうである。住基ネット反対派から見れば、「そら見たことか。住基ネットなどもうやめてしまえ」ということになるだろう。これに対して、住基ネット推進派としては、「今回偽造されたのは印刷部分だけであって、ICチップの情報ではない。」と反論することが考えられるが、この件に関しては推進派の分が悪いとの印象をぬぐえない。

その理由は第1に、ICチップ内情報の偽造が判明していないのは、セキュリティ技術の成果などではなく、単に、ICチップ内情報を偽造する経済的需要が存在しないから、と見るべきだからである。今回明らかになった偽造の目的は、架空名義や他人名義による携帯電話の契約や銀行口座の開設であって、店舗側にICチップ内情報の読取機がなければ、ICチップ内情報を偽造する必要はない。つまり、ICチップが使われていないから、ICチップ内情報を偽造する理由がないだけなのだ。

第2の理由は、こちらの方が重要であるが、ICチップ内情報の偽造がなくても、カード印刷部分の偽造が横行すれば、住基カード、ひいては住基ネットシステムそのものに対する信頼が失われるという点では同一だからである。したがって総務省は、住基ネット実施当初より、ICチップ内情報の偽造防止のみならず、印刷部分の偽造防止に十分留意するべきであった。現在、総務省は偽造防止技術の適用を検討しているとのことだが、あまりにも遅きに失したというべきであろう。

過ぎたことは仕方がないとして、この件から総務省が学ぶべきことは何か。今回明らかになったことは、住基カードの偽造を求める裏社会の経済需要があれば、偽造を試みる輩が必ず発生するということである。そうであるならば、ICチップ内情報の偽造を求める裏社会の経済需要が発生すれば、必ずやICチップ内情報の偽造を試みる技術者が現れる。したがって、総務省は今のうちに、偽造された、あるいは偽造が試みられたICチップを判別する技術と機械を開発し、一定範囲で全国に備置するべきである。住基ネットはどうせ普及しないからそんな技術はいらない、というのであれば別だが。(小林)

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