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2008年2月14日 (木)

セキュリティタウンにおける防犯カメラの設置運用基準

セキュリティタウンとは、防犯等のセキュリティ施設を備えた住宅街のことである。アメリカには「ゲーテッド・コミュニティ」と呼ばれる、壁で囲って要塞化した街が存在するが(昨年旅行した中国杭州にも、高い塀で囲まれた高級住宅街があった)、日本のセキュリティタウンの多くは、ネットワーク防犯カメラ等のITインフラを使い、付加価値としてのセキュリティを高めている。

ところで、三井不動産レジデンシャルのプレスリリースによれば、2月8日から分譲を開始する「ファインコート武蔵野桜堤ブロッサムレジデンス」は「携帯電話との連動も可能な、街を監視する防犯カメラや玄関カメラを全戸標準装備」したセキュリティタウンであり、「歩行者や訪問者を録画可能なセンサーライト付防犯カメラや玄関カメラを全戸標準装備」していることを「主な特徴」に掲げている。

「おいおい、訪問者を撮影するのはともかく、歩行者を撮影して録画したうえ携帯電話に送信していいのか?」と思ってホームページを閲覧したところ、ホームページに掲載されているのは訪問者の撮影までで、「歩行者を撮影・録画して街を監視する」というコンセプトはどこにも掲載されていなかった。この差は、意図的なものなのか、そうでないのか。

タウン内とはいえ、街路の歩行者を洗いざらい撮影・録画して、住民の携帯電話に送信することは、歩行者のプライバシー権との間で重大な法律問題を生起する可能性がある。確かに、他の街路とは一応分離されたセキュリティタウンなら、マンションと同様、共用部分を監視するカメラの設置が認められる場合もあるだろう。しかしその場合でも、カメラの設置運用基準は、きちんと検討されなければならない。

また、このようなセキュリティシステムは、住民以外の第三者との関係だけではなく、住民間でも問題を生じさせる可能性があることに注意しないといけない。例えば、ある住民が街から出たことを他の住民が逐一把握し、泥棒に連絡するなら、たとえ照明やテレビをつけっぱなしにして外出したとしても、留守がばれてしまい、極めて危険である。この街には、そのあたりの歯止めはできているのだろうか。(小林)

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