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2008年2月25日 (月)

日弁連はなぜ負けたのか? ~法曹一元とは何だったのか(3)~

日弁連にとって,法曹一元とはどれほど重要な理想であったのか。これを知る最適の手段は,日弁連の総会決議を紐解くことであろう。

日弁連のホームページ内で「法曹一元」を検索すると,85の文書がヒットする。「法曹一元」and「総会決議」で検索すると,25ヒットだ(もっとも,1966年以前の総会決議は検索対象になっていない)。そして,歴代総会決議のうち,「法曹一元」に最も強く言及しているのは,2000111日の臨時総会決議である。言うまでもなく,日弁連が司法試験合格者年3000人を受け容れた総会だ。この総会決議が,どれほど多く法曹一元に言及しているかについて,決議文及び提案理由に含まれる「法曹一元」という単語の数を比較してみよう。

 

 決議名

宣言中

提案理由中

1967

18回定期総会

司法制度の確立に関する宣言

1

0

1967

19回定期総会

自由の確率と人権の擁護に関する決議等

0

1

1968

19回定期総会

司法の民主化促進に関する決議

1

6

1969

臨時総会

司法修習生の追加採用に関する決議

0

5

1969

20回定期総会

司法権の独立に関する宣言

0

0

1970

21回定期総会

司法制度の改正に関する決議

0

0

1971

22回定期総会

司法の独立に関する宣言

0

0

1976

27回定期総会

司法研修所における法曹教育に関する決議

1

3

1990

41回定期総会

司法改革に関する宣言

1

2

1991

42回定期総会

司法改革に関する宣言その2

0

1

1992

43回定期総会

弁護士任官推進に関する決議

1

2

1994

45回定期総会

司法改革に関する宣言その3

1

1

1994

臨時総会

法曹養成制度の「統一・公正・平等」に関する決議

0

1

1994

臨時総会

司法基盤整備・法曹人口問題に関する関連決議

0

0

1997

48回定期総会

憲法50年・国民主権の確立を期する宣言

0

1

1999

50回定期総会

司法改革の実現を期する宣言

1

0

2000

51回定期総会

司法改革に関する宣言

1

0

2000

臨時総会

法曹人口,法曹養成制度並びに審議会への要望に関する決議

5

37

2001

52回定期総会

市民の理解と支持のもとに弁護士自治を維持・発展させる決議

0

0

2003

53回定期総会

司法改革に対し抜本的な予算措置を求め,市民のための大きな司法の実現をめざす宣言

0

2

2003

54回定期総会

司法改革宣言2003

0

0

2004

55回定期総会

弁護士任官を全会挙げて強力に進める決議

1

2

2004

55回定期総会

司法改革宣言2004

0

1

2005

56回定期総会

司法改革実行宣言

0

1

2006

57回定期総会

司法改革実行宣言

0

0

この表は,1967年以降の日弁連総会決議本文と提案理由中に,「法曹一元」という単語がいくつ含まれているかを数えてみたものである。但し,時間節約の観点より,決議名から推測しておよそ法曹一元に言及していないと思われるものは除外したから,漏れがあるかもしれない。しかし,2000年の臨時総会決議と提案理由に含まれる「法曹一元」という単語の数合計42個は,他の決議に比して,群を抜いて,ほとんど異常といえるほど多いことは一目瞭然である。これに対して,「決議文が長文だからだろう」と茶々が入るかもしれないので,同じ臨時総会決議中,他のキーワードと比較してみると,「司法改革」は12個,「人権」17個,「法曹人口」でさえ33個である。いかに2000年の臨時総会決議が,繰り返し「法曹一元」に言及したかは,もはや明白である。そして,ここまで熱心に言及された「法曹一元」というキーワードが,その後急速に廃れたこともまた,悲しいほど明白である。(小林)

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