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2008年2月 5日 (火)

「通りすがりの1人」さんへの返事

「通りすがりの1人」さん、真摯なコメントをありがとうございます。当ブログもおかげさまで色々コメント等をいただくようになりましたが、中にはただの誤解や、「法曹の質」が疑われるものがあり、投票日も近いし、何より仕事が押しているし、特に返答をしないでおこうと思っていました。しかし、ここまで真面目なコメントをいただくと、掲載するだけで無視するのも礼儀に反すると思い、ご返事します。

まずお断りしておきたいのは、すでに述べた見解を含め、このブログの記事は小林の私見であって、宮崎誠候補や選挙事務所の意見でもその代弁でもないことです。嘘つけ、と思われるかもしれませんが、信じていただかないと話が進みません。だからもちろん、宮崎候補やその支持者と意見を異にする部分がありえます。なお、私の文章を候補者に対する攻撃材料に使われると迷惑なので、投票日翌日までの引用は一切禁止します。リンク張りはご自由に。

さて、「通りすがりの1人」さんのコメントの要点は、「宮崎候補に3000人増員見直しを主張する意思があるのか」という点です。私の見方はYesです。もう少し正確に言うと、任期中である2008年と2009年の合格者については、最大でも、現状(2007年の合格者数)維持を主張することは間違いないと見ています。2010年以降の合格者数については、後述するとおりですが、合格者減を主張する可能性は高いと考えます。私が見る限り、遅くとも去年の秋から、宮崎候補の立場は増員阻止で一貫しています。

合格者減で立場が一貫しているのなら、なぜ高山候補のようにはっきり言わないのでしょうか。最近はかなりはっきり言っていますが、最初からそうならなかったのは、私の見る限り、宮崎候補の支持グループにも色々あり、宮崎色を出そうにも、表現が玉虫色にならざるを得なかったからです。この点は、私自身歯がゆく思っている点です。支持グループの中には、私のように合格者減を主張する人も多いですが、3000人維持や、さらなる増員を主張する人もいます。増員論者はロースクールの利益代表者ばかりではありません。「法の支配を実現するためには3000人では足りない」と本気で考える弁護士もいます。

「相矛盾するグループの支持を受けるなんて不潔!」なんて言わないで下さいね。政策集団というのは、本来、そういうものです。自民党だって、民主党だって、ふたを開ければ同床異夢。でもそれは、悪いことではありません。色々な方向から叩き合うからこそ、実現可能な政策ができあがるのです。高山候補が具体的政策を打ち出せないことの一因は、スタッフが皆同じ方を向いていることにあると思います。異分子や異論を排除しているから、言うことは明快になります。でも、異論を排除した仲良しグループが、「弁護士会が一丸となって団結しよう」などと言うのは、自己矛盾でしかありません。高山候補のスタッフの手法は、弁護団なら正解ですが、政策集団としては明らかに誤っています。

むしろ問題は、「宮崎候補が当選したら、3000人維持派や増員派が息を吹き返し、維持や増員に動くのではないか」という点です。確かに、再び3000人維持派が主導権を握る可能性はゼロではないでしょう。しかし、だからこそ、当選後の宮崎候補に合格者減を実現させるよう後押しし、監視するのは、若手の責任です。合格者減は、誰かが当選するだけで実現することではないのです。当選した後の方が大事なのです。公的決定が 10001500人から3000人になるまで、短く見ても4年かかっています。これを減らすには、もっと長い時間と手間がかかると見ないといけません。若手が声を上げ、行動し続ければ、宮崎「会長」の支持勢力や、「次期」「次々期」会長候補者の支持勢力は、増員阻止に動くと私は見ています。

ここでたぶん、「通りすがりの1人」さんの疑問は、最初に戻ってしまうと思います。「ややこしく、条件付きで、リスクのある宮崎候補に投票しなくても、主張の明快な高山候補に投票すればよいのではないか?」。ごもっともな疑問ですが、私にとって今回の選挙の選択肢は、「リスクはあるが、合格者減を実現する可能性のある候補者に投票するのか?」「明快だが、合格者減を実現できない候補者に投票するのか?」です。高山候補の政策は戦術として極めて稚拙であり、「バンザイ突撃」程度のインパクトしかないことはすでに述べたとおりです。高山候補が当選した場合、同候補が敵とみなす勢力は、表面上、「えらいことになった、司法改革が全部白紙に戻る」と大騒ぎをしながら、内心では「これで日弁連の息の根を止められる」と、ほくそ笑むでしょう。

ついでに指摘するなら、高山候補は、3000人という「日弁連の敗北」の戦犯の1人、と私は考えています(宮崎候補が戦犯ではない、という意味ではありません)。当時の日弁連の頑迷さ、狭量さ、イデオロギー論争に明け暮れ世間の空気を読めない無神経さが、敗北の根本原因であり、高山候補は間違いなくその一角を担っていたはずです。もちろん宮崎候補の推薦人の中にも、高山候補の推薦人の中にも戦犯がいます。「戦犯は責任を取れ」というあなたのご指摘は感情的に理解できますが、それなら高山候補にも退場して頂かないといけません。あなたは「総括」を従来の執行部に要求しますが、それなら、高山候補にも総括してもらわないといけません。高山候補は元々700人を主張していたはずです。それがいつから、どういう理由で1500人になったのでしょうか?ただの若手向け人気取りではないのでしょうか?この変遷について、高山候補は全く総括も説明もしていません。

話を戻しますが、「3000人は中坊と久保井が勝手に決めた」などいうデマゴーグに騙されないで下さい。中坊氏や久保井氏が戦犯であるとの意見は否定しませんし、「3000人に増員しても大丈夫だろう」という見通しの誤りは十分非難に値しますが、アニメやドラマじゃあるまいし、彼らに勝手にできることではありません。もっと大きな流れがあるはずです。もっとも、この経緯については、私自身勉強不足を感じており、調査のうえ意見を述べたいと思っています。回り道のようですが、本当に大事なのは、歴史をきちんと勉強することだと考えます。この点、「通りすがりの1人」さんの真摯な態度は高く評価するものの、少年マンガのような善悪二分論や親分子分論に支配されている点に危うさを感じます。歴史をきちんと勉強すれば、人間や組織や社会というものはそんな単純で皮相なものではないと理解できるはずだ、と私は信じています。

旧態依然たる弁護士会の体質や、人口増による弁護士自治崩壊の危機感などについては、私も全面的に「通りすがりの1人」さんに賛同します。正直言って、もはや弁護士会は後戻りのできない崩壊への道を歩んでいるのではないかと思うときもあります。でもここでやけっぱちになったら、弁護士は本当に全てを失うと思うのです。(小林)

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