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2008年2月17日 (日)

監視カメラは沖縄米兵少女暴行を防げるか

沖縄で,米兵が中学校三年生の少女を強姦したとして(被疑者は否認と報道されている)逮捕された事件を受け,政府は214日,対策として繁華街への監視カメラの設置を表明した。

すでに本ブログで指摘しているとおり,公道である繁華街に監視カメラを設置することについては,憲法に違反する疑いが提起されている。少なくとも,従前の裁判例を単純に適用する限り,違憲違法と考えざるを得ない。この点について,筆者自身は,一定の要件のもとでなら,公道である繁華街に監視カメラを設置し運用してもよいと考えるものであるが,それでも,本件監視カメラの合法性には疑問が残る。端的に言って,本県の事情を踏まえて公道に設置された監視カメラは,専ら外国人の行動を監視する目的で運用されることになろう。これは,人種又は国籍による差別につながる。もちろん,在日米兵自身については,軍が承諾すれば,一応,違法性の問題は回避できる。しかし軍人でない外国人も多いだろうし,その外国人と私服の在日米軍人とは外見上区別がつかないから,結局,軍人でない外国人の人権の問題は残る。

それに,そもそも,今回の犯罪が繁華街に監視カメラを設置することで防げるのか,という問題もある。報道されている限りでは,被害少女は,沖縄市の繁華街で,午後8時半頃,被疑者に声をかけられてバイクに乗ったということである。ここまでだけなら,ただのナンパだ。繁華街に監視カメラをつけたとして,ナンパそのものを抑止することができるのだろうか。また,繁華街に監視カメラを設置して,ナンパを取り締まることは許されるのだろうか。ナンパが好ましいことかそうでないかには議論の余地があるにせよ,ナンパそれ自体が違法だという見解はない。監視カメラでナンパを取り締まるよりむしろ,少女が夜に繁華街をうろつかないよう措置を講じた方が有効ではないかと思う。(小林)

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