« 日弁連はなぜ負けたのか? ~法曹一元とは何だったのか(2)~ | トップページ | 日弁連はなぜ負けたのか? ~法曹一元とは何だったのか(3)~ »

2008年2月24日 (日)

消費者契約法と不動産取引

消費者契約法という法律がある。この法律は,もともと,押し売りやキャッチセールスによる消費者被害を念頭に置いて成立した法律であることから,不動産の売買や建築請負契約にも適用されることは,あまり知られていない。

東京地方裁判所が平成18年8月30日に出した判決は,マンションの売買に消費者契約法の適用を認め,売主である東急不動産に対して,マンション売買代金全額の返還を命じた。

この事件は,マンションの3階部分を販売するにあたり,「風通しや日差しに配慮し,開放感のある角住戸」と宣伝し,現場での具体的な説明においても,担当者は「窓を開ければ遊歩道の緑が見える」と言ったという。そして,売買契約に先立って行われた重要事項の説明では,「将来,周辺の土地に建物が建築されることにより,本物件の眺望・通風・景観などに変更が生じうること」という説明がなされた。

しかし実はこの時点ですでに,隣の土地に3階建ての建物が建築されることが予定されており,売主は,このことを知っていたが,買主には告げなかったというものである。

東京地裁判決は,建物の眺望・採光・通風は消費者契約法の定める重要事項であることを認めたうえ,東急不動産が隣に3階建て建物の建築予定があることを知りながら,こういった具体的事情を買い主に告げず,重要事項説明程度の一般的な説明にとどめたのは,「本件建物の眺望・採光・通風といった重要事項について,買い主の利益になる旨を告げたものであり,また,将来隣に建物が建って本件建物の眺望等が害される事実を知りながら告げなかったのは,眺望や通風等が失われるといった住環境が悪化するという買い主に不利益となる事実ないし不利益を生じさせるおそれがある事実を故意に告げなかった」と認定し,原告によるマンション売買契約の取消を認めた。

この判決は東急不動産が控訴したようであり,確定していないが,不動産売買にも消費者契約法が適用されるとした点,眺望・景観・風通しといった事項が消費者契約法の規定する「重要事項」に該当するとした点,重要事項説明書で一般的な説明をしただけでは業者は免責されないとした点で,注目に値する判決である。(小林)

|

« 日弁連はなぜ負けたのか? ~法曹一元とは何だったのか(2)~ | トップページ | 日弁連はなぜ負けたのか? ~法曹一元とは何だったのか(3)~ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/192469/40168806

この記事へのトラックバック一覧です: 消費者契約法と不動産取引:

« 日弁連はなぜ負けたのか? ~法曹一元とは何だったのか(2)~ | トップページ | 日弁連はなぜ負けたのか? ~法曹一元とは何だったのか(3)~ »