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2008年3月17日 (月)

日弁連はなぜ負けたのか? ~法曹一元とは何だったのか(8)~

司法試験合格者年3000人を事実上受け入れた2000年の日弁連臨時総会決議は,「法曹人口」の33回よりも多い42回,「法曹一元」という単語を繰り返した。なぜこれほど多数回,同じ言葉を繰り返したのか。前稿までで基礎的なお勉強をすませたことでもあり,再度,決議文と提案理由にあたってみよう。

本決議文は,柱書のほか,下記3項に大別される。

第1項は,判事補制度の廃止と弁護士からの裁判官任官,及び陪審・参審制の導入を求め,

第2項は,「法曹一元制の実現を期して」,国民が必要とする法曹数を確保することを宣言し,

第3項は,「法曹一元制を目指し」,法科大学院の設立に協力すること,を宣言している。

このうち,第1項の判事補制度の廃止や弁護士任官は法曹一元そのものだから問題ない。陪審制は本来法曹一元と異なる概念だが,刑事司法への国民参加という文脈でとらえることにより,法曹一元と趣旨を同じくするものと理解できる。問題は第2項と第3項である。

まず,第2項で,「法曹一元を期する」ことが,なぜ年間3000人という法曹人口大幅増に結びつくのか。すでに垣間見たとおり,法曹一元と弁護士人口の大幅増は,論理的に直結しないし,イギリスの伝統的法曹一元制が示すとおり,制度的にも無関係である。しかし日弁連は,優秀で幅広い人材を弁護士の中から裁判所に投入するためには,まず弁護士自身が社会の隅々まで行き渡る必要がある,という見解を採用した。ここに,「法曹一元制の実現を期して」,その基盤整備のために,弁護士の数を大幅に増やす,という論理が登場する。

次に,第3項で,「法曹一元制を目指す」ことが,なぜ法科大学院の設置に結びつくのか。まず,法曹一元を期して法曹の大幅増員を遂行する以上,従前の司法研修所による法曹教育では不十分となる。そこで,代替機関として法科大学院を想定するとともに,幅広い人材を養成し,地域に密着した法曹を養成する(日弁連の提言する法曹一元制度は裁判官の異動がない)ため,多数の法科大学院を全国に設置することが必要となる。このように,法曹一元制を目指すためには,多数の幅広い人材としての法曹を養成する機関として,多様かつ全国的な法科大学院の設立が必要になる。

2000年の臨時総会決議が,法曹一元という単語を42回も使って説明しようとしたことは,要約すると,概ね,上記のような内容となる。

それなりに筋の通った話であることは分かる。読者の皆さんは,なるほど,と納得されただろうか。

筆者は全く納得できない。むしろ,かなりの胡散臭さを感じる。それはなぜだろうか。(小林)

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