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2008年3月 3日 (月)

次世代ロボット環境構造化プラットフォームについて

ATR(国際電気通信基礎技術研究所)と東芝が,環境情報構造化プラットフォームの実証実験に着手したと報じられた。

これは簡単に言い直すと,部屋とか建物とか,イベント会場とか,といった空間全体を大きなロボットの顔にしてしまう,という考え方だ。

ロボットというと一般市民はアトムのような大きさの人間型ロボットを想像するが,この大きさに,人間の期待する機能や性能を詰め込むのは,現代の技術では到底不可能だし,100年経っても無理かもしれない。何しろ人間が持っている個々のセンサーは細胞一個分の大きさしかないのに,ロボットのセンサーときたら,大きくて,性能が低い。かといって,人間が満足するほどのセンサーを詰め込んだロボットは,顔だけで数メートル四方を超えるだろう。

そこで発想を変えて,必要なセンサーを空間に取り付けてしまう,というのが,「環境情報構造化」の第一段階の考え方である。つまり,部屋などの空間に,カメラやマイク,各種センサーを縦横無尽に取り付けて,中の人間などの情報を集めるのだ。これはユビキタスの考え方と同じである。そうすれば,センサーの大きさや性能の低さに余り悩まないで済む。性能が低ければ,たくさん取り付けたらよいのだから。そして,これらのセンサーが受け取った情報を,部屋の中にいる人間型ロボットに電波で送信すればよい。そうすれば,人間型ロボットは,たくさんのセンサーを積まないで済む。

もっとも,部屋中のセンサーが集めた情報は,それだけでは種々雑多で,それを直接ロボットに送信しても,受信したロボットの方で意味が分からず困ってしまう。これを解析するコンピューターの大きさや費用や消費電力も馬鹿にならない。そこで,部屋中のセンサーが集めた情報は,これらを統合して,標準化し,意味づけをした後で,個々のロボットに送信する必要がある。この「情報→統合→意味づけ」の過程を「構造化」と呼んでいるわけである。ここで「意味づけ」というのは,例えば「子どもが1人で,大きな声を上げながら,部屋の座標Aから座標Bに向かって,時速3.4キロで直進している」といった情報であり,これを受信したロボットが,「迷子誘導モード」になって,その子どもの前に回り込んで話しかける,といった案配である。

プライバシー権との関係で言うと,部屋中にセンサーが張り巡らされるわけであるから,当然,様々なプライバシー情報が取得されることになる。したがって,これらを適切に処理する法的手当が必要になる一方,技術的には,プライバシー情報を適切に切り離していくことにより,法的問題を回避しうることになる。このあたりの法的・技術的な切り分けがうまくいくと,大変面白いことになるのではないかと,密かに期待している。(小林)

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