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2008年3月19日 (水)

パワードスーツ(パワーアシストスーツ)の安全(3)

パワードスーツの安全を考える場合,インターフェースの問題は別途検討しておかなければならないような気がする。

インターフェースというと難しげであるが,「操縦装置の有無」と言い換えても大差ない。一般的に,人間が人間以外のモノを操縦しようとするとき,その「モノ」と「ヒト」の間に,インターフェースとしての操縦装置が存在する。

モノ

インターフェース

パソコン

キーボード,マウス

自動車

ハンドル,ペダル等

手綱,鐙

これら旧来のインターフェースに本質的なのは,それ自体は無意思・無判断であり,操縦者であるヒトの操作をそのまま,忠実にモノに伝達する,という点だ。そして,その前提として,ヒトはモノの操作方法を理解しており(たとえば,ハンドルを時計回りに回せば自動車は右に方向転換する,と理解している),この理解に基づいて,インターフェースを操作するという約束が存在する。

上記のようなインターフェースの本質と,その前提となる「操作方法の理解」は,今まではごく当たり前のこととして,意識さえされずに来た。その結論として,モノの操作によって事故が発生した場合,その原因は,「ヒトのミス」か「モノの欠陥」か「ヒトのミスとモノの欠陥の両方」の3つしか考えられず,「ヒトのミス」と「モノの欠陥」の境界線は明確であった。

しかし,パワードスーツの事故を想定してみた場合,インターフェースの問題は,上記のように単純には理解されないと思われる。

これをわかりやすく言い換えてみよう。例えば自動車を運転する場合,運転者の脳は外界から様々な情報(例えば,雨が降っている,前方に自動車が走っている,追越禁止区間だが対向車は無い,等)を取得し,脳内にある様々な意思(急ぎたい,でも免許の点数が残っていない,等)と照らし合わせた上で,一定の意思決定(追い越そう)を行い,この意思に照らして操縦方法(ハンドルを少し右に切る)を決定し,そこで初めてインターフェースを操作(ハンドルを3度時計回りに回す)する。一方インターフェースや自動車は,操縦者がどのような意思決定や操作方法の決定に基づいてその操作を行ったかは一切関知せず,インターフェースに従って動くだけである。

一方,パワードスーツにも,インターフェースはある。それは,筋電センサーや圧力センサーその他のセンサーであり,あるいは,これらセンサーからの情報を統合して判断するCPUである。これらのセンサーやCPUは,もちろん,操作者の意思決定,操作方法の決定を踏まえた操作を感知してモノを動作させることもあるが,そうではなく,「操作者の操作方法の決定を勝手に探知してモノを動作させる」ことがありうる。例えば,装着者が「右腕を挙げよう」という意思決定をせず,単に心の中で思っただけなのに,右腕の筋電センサーが筋電の上昇を感知し,勝手にパワードスーツの右腕を上げる動作を行う,という場合が考えられる。このような場合に事故が起きたら,それは「ヒトのミス」なのか,それとも「モノの欠陥」なのだろうか。このように,旧来のモノとヒトとの関係に比べると,その境界は非常に曖昧になっている。(小林)

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