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2008年5月21日 (水)

ガシャポン誤飲 製造物責任

2008521日の毎日新聞によると,ガシャポンと呼ばれる玩具入りカプセルを誤飲して死亡した210ヶ月男児の両親が製造元のバンダイナムコゲームスに約18000万円の損害賠償を請求した事件で,鹿児島地裁は,構造上の欠陥などを認定し,約2626万円の支払を命じた。

まだ新聞報道レベルなので詳細は不明だが,注目点は次の2点である。

1点目は,業界団体作成の安全基準を遵守していたから欠陥はない,との被告製造者の主張が退けられた点だ。裁判所は,3歳未満の幼児でも開口部の直径が4センチを超えることがある以上,31.8ミリメートル以上とする業界の安全基準は不適当と判断した。

判決が3歳未満を規準にしたのは,3歳を超えれば,誤飲を避けるある程度の能力は通常備わっているだろう,という判断があったのかもしれない。また,業界の自主安全基準を守ったからと言って直ちに法律的に免責されない,というのは,法律家から見ると当然の理屈であるが,製造業者の立場からすると,じゃあ何を守ったらよいのか?ということになる。このあたりは製造業者にとって一種のコンプライアンスの問題として議論されることになろう。また,この判決の理屈からすると,ガシャポンに限らず,直径4センチメートル以下の玩具(たとえばスーパーボール)は全て構造上の欠陥を有しうることになるが,これでは製造業者側に酷に過ぎるように思われる。

2点目は,18000万円の請求に対して,2626万円の賠償を認めた点だ。請求金額の18000万円をどのように算出したかは分からないが,逸失利益だけなら,高めに計算しても,1億円を超えない。仮にご両親の慰謝料と男児の逸失利益を裁判所が1億円と認定したとすれば,約75パーセントの過失相殺を認めたことになる。この過失相殺割合が高いか低いかも,議論になりうる点だろう。(小林)

注;筆者の勘違いで,幼児は死亡したのではなく,重い脳障害が残ったとのことです。お詫びして訂正いたします。死亡ではなく,脳障害ということであれば,1億8000万円の賠償請求金額も考えられるところです。いずれにせよ,かなりの過失相殺を認めた点では同じになります。

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