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2008年5月21日 (水)

野村證券はなぜ危機管理に失敗したのか

もと特捜検事である郷原信郎弁護士が,3つのインサイダー取引事件における新日本監査法人,野村證券,そしてNHKの3社の対応について,興味深いコラムを書いておられたのでご紹介したい。いずれも企業の信用失墜をもたらす危機的事件だったが,対応の良し悪しが明暗を分けた。

新日本監査法人の場合,事件が報道される1ヶ月前には社内で事件を把握し,弁護士に相談するほか,自主公表の記者会見を予定していた。たまたま記者会見予定日に日経が事件をスクープしたが,その前日には理事長自身が日経記者と接触しており,記者会見では第三者委員会設置などの迅速な対応をアピールし,組織的関与の有無の調査と検証を公約したため,その後の報道は沈静化し,信用失墜は最小限にとどまった。

これに対して野村證券の場合は,社長個人が事件を知ったのが報道当日であった(もちろん,担当部署は事前に知らなかったはずはないのに,情報が社長に届いていなかった)という対応のまずさや,記者会見で社長が組織的関与を否定して報道機関によるバッシングを浴びたことなどが,甚だしい信用失墜を招いた。

対応が後手に回ったとはいえ記者会見を事件当日に行った野村證券に比べ,NHKの場合は報道翌日に記者会見が開かれるという最悪の展開だった。

郷原弁護士によると,企業の危機管理の明暗を分けたポイントは,事前に事件を把握し,報道される以前(少なくとも報道と同時)に公表できるか否かにある。もちろんそのためには,事前に事件を把握できる社内体制が有効に機能していることが必須条件となる。

ところで,郷原弁護士は,野村證券の事例に関し,そもそも,選りすぐりのエリートを配属するはずの部署に,入社したばかりの中国人を配属したことが,コンプライアンス上誤りであったと指摘する。文章の背後に「中国人は信用できない」という,差別的と言われかねない価値判断が見え隠れするが,コンプライアンスを保持する立場からは当然の指摘なのかもしれない。

もっとも,中国人を配属したのがまずかったという指摘は結果論であり,企業側としては,「じゃあどうすればよかったの?」と対応に苦慮するところであろう。毒入り餃子の件を持ち出すまでもなく,現在の日本の企業は,中国人の力を借りなければ,実際問題として立ち行かないからだ。(小林)

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