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2008年5月14日 (水)

株主代表訴訟の提訴件数は多いのか

日本では,どれくらいの数の株主代表訴訟が起こされているのだろう,と考える機会があって,少し調べてみた。

株主代表訴訟とは,株式会社の株主が,会社に代わって,会社の取締役や監査役等に対して損害賠償を請求する訴訟のことである。本来,取締役等は,会社に対して法律上の責任を負うから,故意又は過失によって会社に損害を与えた場合には,会社に対して損害賠償義務を負う。しかし現実問題として,会社が社長や重役を訴えることは,いろいろと遠慮があってできない場合が多い。そこで会社法は,一定の要件のもとに,株主が会社に代わって取締役等を訴える制度を設けたのだ。

原典ではないので正確でないかもしれないが,例えばこのサイトによると,株主代表訴訟の提訴件数は1993年(平成5年)の76件から漸増し,1999年(平成11年)の202件をピークに漸減に転じ,2005年(平成17年)には103件となっている。

昭和25年からあるこの制度であるが,1994年以降増加したのは,訴えの手数料が一律8200円になったからだ(現在は13000円)。訴えの増加については,経済界の反発が強く,取締役の責任を軽減ないし免除するさまざまな制度が創設された。2000年以降の提訴件数が漸減したのは,そのせいかもしれない。

しかしいずれにせよ,年間100件ないし200件である。我が国の株式会社の数がいくつあるかは知らないが,上場会社だけで3600社以上あるらしい。一方,株主が何人いるのか(外国人投資家もいるから,日本人に限らない)も不明だが,機関投資家はもちろん,個人投資家も,複数の会社の株を持つのが普通だ。仮に1000万人が平均10株所持するとして延べ株主数は1億人となる。社員株主など含めると,延べ株主数は数億人に達するとみてよいのではないか。

仮に株主が延べ10億人いるとして,株主代表訴訟の提訴件数が年間100件とすると,提訴率は0.001%である。これは多いか少ないか。とても少ないと言うべきだろう。

「社会のすみずみまで法の支配が行き渡る社会」とは,ここ20年間,日弁連の謳い文句であった。今般法曹人口が大幅に増員されたのも,この「法化社会」を期してのことであった。そして誰より産業界が,法曹人口の大幅増員を企図したのだ。それにもかかわらず,株主代表訴訟の提訴数は低いままである。そうだとすれば,法曹界は,産業界ひいては社会全体の期待に応えるため,株主代表訴訟の提訴数をせめて百倍に増やすべく,努力するべきであろう。(小林)

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