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2008年6月 7日 (土)

3000人問題と法曹の質の問題について

筆者の父は,定年退官したもと裁判官であり,今から50年近く前は司法研修生であった。その父から,司法研修所で印象に残った2人の同期生の話を聞いたことがある。

一人は,これほど頭の切れる人間がこの世にいるのか,というほどの能力の持ち主であった。検察官志望だったこの男は,人格識見とも,父が逆立ちしても到底かなわない人物であり,「こんな男と同期では,検事になっても出世はおぼつかない」と思った父は,検察官志望を撤回したそうである。この男とは堀田力といい,特捜検事として名をはせ,ロッキード事件の捜査及び公判立会検事として活躍したが,将来を嘱望されながら退官し,現在は弁護士資格を持ちつつ,さわやか福祉財団理事長や,コメンテーターなどとして活動している。

さて,もう一人は,「こんな馬鹿でも司法試験に受かるのか」と驚き呆れた人物であった。司法研修所でも,余りのデキの悪さに,まさか二回試験は通るまいと思われていたらしいが,この男は予想に反して二回試験を突破し,これも検察官になった。ただし堀田力と違い,あっさり退官して弁護士になり,その後弁護士業界ではさまざまな悪い噂をまき散らしたが,1995年(平成7年)以降,一躍時の人となった。

固有名詞を出すと問題になりうるので控えるが,その男とは誰あろう,某宗教団体の教祖の弁護人を買って出たうえ,「おお馬鹿者!」「も~う,やめてぇ~」など一連の発言とパフォーマンスで,マスコミの寵児となった「あの人」である。

つまり父は,同期のトップと,同期のビリを両方知っているのだ。

で,このユルい話が「3000人問題と法曹の質」というお堅い標題とどんな関係があるのかって?

司法試験合格者数3000人になると,法曹の質が低下する,という意見がある。既に,基礎知識が欠落した修習生が現れている,と主張する。しかし,司法試験合格者数300人だった父の同期から,あの「ぶぁっかもん!」弁護士が出ているのだ。つまり,どんな制度でも,どんな合格者数でも,間違って合格する人はいる。だから,3000人の中で10人や20人,「やめてぇ~」レベルの馬鹿や阿呆がいたからと言って,それは制度の本質的欠陥とは言えないのである。それでも,3000人になると法曹の質が低下するというのなら,件の弁護士に匹敵する馬鹿を100人以上連れてくるか,そうでなければ全体の平均または標準偏差を持ち出さないと,議論としては裏付けを欠くことになると思う。(小林)

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