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2008年8月26日 (火)

うなぎ蒲焼きの産地偽装問題について(3)

Ⅲ 偽装の背景3(続発した産地偽装)

大阪の株式会社魚秀と,神港魚類株式会社,その他数社が舞台となったとされるうなぎ蒲焼きの産地偽装事件は,20086月から7月にかけてマスコミを賑わしたので,まだ人々の記憶に新しい。しかし,事件の直前,多くのうなぎ業者の産地偽装が摘発されたことは,忘れ去られようとしている。

2006225日には,フジ活鰻産業(静岡市)高知支店の産地偽装について,同年411日には高知県土佐市の大熊の産地偽装について,それぞれ農林水産省が改善指示を行った。

2007年は,国産うなぎ価格の高騰要因がいくつも重なった。稚魚の不漁と,EUの稚魚輸出制限,台湾の禁輸措置が,日本に入ってくるシラスうなぎの絶対量を減少させ,これに,ハウス養育に必要な重油価格の高騰が追い打ちをかけた。しかも,改正食品衛生法に対応するための,中国うなぎ養殖場の設備が間に合わず,さらに,輸入した中国産のうなぎからたびたび禁止薬物が発見されたため,中国産うなぎの国内流通量が激減した。2007714日の新聞報道によれば,魚秀の親会社である徳島魚市場が同年3月に輸入した中国産うなぎ蒲焼きから,禁止薬物の代謝物が検出されたため,徳島魚市場が自主回収を始めた。この一連の事件により,国内のうなぎ業者は,輸入うなぎの大量在庫を抱えることになったと思われる。その中で,少なからざる業者がうなぎの産地偽装に手を染め,農林水産省がその摘発に乗り出した。

20079月,農林水産省は九州の十数業者に対し,台湾などから輸入した生きたうなぎを国産と偽り販売していたとして,大規模な立ち入り調査を行い,宮崎市の「原田穂積商店」と「石橋淡水」が県から厳重注意処分を受けた。また11月には,産地を確認せず「国産」との証明書を発行したさいたま市の「山商水産」,静岡市吉田町の「山政」と「マルニうなぎ加工」が,12月には,熊本県の「岩本水産」と「九州生鮮」が台湾産などのうなぎを国産と偽り,加工業者などに販売していたとして,県から厳重注意処分を受けた。20082月には,静岡市の「東海澱粉」が農林水産省から厳重注意処分を受けるとともに,従業員二人が不正競争防止法違反容疑で逮捕された。

2008618日,農林水産省は,「養殖うなぎの原産地表示の適正化について」と題するプレスリリースを行い,「複数国を経由し養殖されるうなぎの原産地に関しては,販売先に対し,経由した全ての養殖場所,養殖期間を伝達するよう周知を行った。

このとき問題となったのは,国産うなぎ生産量日本一とされる,愛知県一色町の「一色うなぎ漁業協同組合」の「産地偽装」であった。620日の産経新聞によれば,「一色漁協は,一色町で16ヶ月養殖したうなぎ約18万匹を徳島県の卸売業者から鹿児島県の輸出業者を使って台湾に輸出し,そのうなぎを輸入したとしていたが,台湾から輸入したうなぎは約26万匹に増えていた。しかも,農林水産省の調査では,一色産の幼魚が台湾の池に入ったことは確認できなかった。漁協の組合長は,「輸入業者から,書類が揃っているので『国産または一色産』と表示できると持ちかけられた」とか,「仲介業者が間違えた」とか,いかにも被害者であるかのような言い訳をしている。」と報じている。同日付の日本経済新聞によれば,一色漁協にうなぎの輸入を持ちかけたのは,上述したさいたま市の「山商水産」である。

ここで報じられた「徳島県の卸売業者」が誰を指すのかは不明である。しかし,大阪の魚秀とその親会社である徳島魚市場株式会社が,うなぎ蒲焼き産地偽装事件の舞台として世間の注目を集めるのは,わずか1週間後のことである。(小林)

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