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2008年9月30日 (火)

ニュースを読む視点3~中教審が法科大学院の統廃合に言及

2008年9月27日の毎日新聞,同月30日の日本経済新聞によると,中央教育審議会の法科大学院特別委員会は30日,法科大学院に対し,定員削減や他校との統合を求める中間報告案をまとめたとのことである。法科大学院の乱立による司法試験合格率低迷が背景にあると,記事は解説している。

ちなみに,7月24日の日本経済新聞によると,同月23日の中央教育審議会で田中成明座長(関西学院大大学院司法研究科教授)は,「法科大学院は期待される役割を十分果たしている」との見解を表明した。また,委員から「日弁連の見識を疑う」との強い反発も出たそうである。

ところが,その一月後の8月22日の朝日新聞は,同月21日の中央教育審議会では,「『悪貨が良貨を駆逐するように,(質の悪い法科大学院の)悪いイメージばかりが広がっている』『大学院間の(合格者数)競争に敗れたら退出する見込だったのに,(どこの大学院も)なかなか退出しないからひずみが出た』として,『委員からは,法科大学院の現状に対する厳しい意見が相次ぎ,大学院の定数削減を求める声も上がった。』田中成明教授も,『質を維持できない所を放っておくことの方が問題だ』と保岡法相の再編統合発言について理解を示す。」と報じている。

さらに一月後には定員削減や他校との統廃合である。報道が正確なら,中央教育審議会委員の先生方は,記憶力が無いか,信念が無いか,大臣と官僚以外に頼る者のない,ただの御用学者である。

まあそれはさておき,この経緯を見ても,法科大学院が現在,大変な苦境に立たされており,自己保存のため必死にボールを投げ返そうとしていることが分かる。そして,このようなシチュエーションの場合,中教審が「何を言ったか」ではなく,「何を言わなかったか」という視点が大事だと思う。

中教審が今回言わなかったこと,すなわち言いたくなかったことは,「法科大学院の総定員数に言及する」ことだったと思う。言い換えれば,本当にどうしようもない下位数校を統廃合してお茶を濁すことが,中教審が現在掲げる戦略目標である。もちろん,この戦略目標を達成できるか否かは未知数であり,政権交代を含めた不確定要素に左右されることになろう。

それにしても,文科省の中教審法科大学院特別委員会の議事録は,2007年11月29日を最後に更新されていない。意図があるのか,単なる怠慢なのか分からないが,国民に対する情報提供という観点からすれば,とても酷い話である。(小林)

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