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2008年10月31日 (金)

中谷内一也著「安全。でも安心できない…」(ちくま新書)

50年前と現在の日本を比べてみると,有害科学物質の環境濃度は低下し,食中毒による志望者も減少し,平均寿命は延び,治安も改善している。それにもかかわらず,現代人の不安は増している。つまり,安全であるからといって,安心とは限らない。著者は,現代社会において生活の外部依存性(つまり生活の分業処理)が極大化しているにもかかわらず,分業担当者(リスク管理者)を信頼できないことが,不安の原因であると説く。そして,リスク管理者に対する信頼を獲得するためには,①リスク管理者が担当分野に対して高度の専門性を持っていること,②真面目にリスク管理に取り組む姿をアピールすること,③リスク管理者と動機を共有できること,つまり,リスク管理者が勤務先や特定業界の利益ではなく,消費者一般の利益を指向していることが明示されていること,の3点が必要であるとする。

ごく当たり前の結論ともいえるし,今までこのような整理がなされていなかったともいえる。このような心理学的アプローチからすれば,食の安全も,次世代ロボットの安全も,ユビキタス社会における情報安全も,監視カメラ社会における安全も,根っこは同じ問題となり,大いに参考になる。(小林)

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