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2008年10月29日 (水)

伊藤ハム問題のポイント

伊藤ハムが,東京工場の水源から基準値を超えるシアン化物等が検出されたとして,商品の自主回収を公告した。

井戸水の汚染自体は不可抗力だったかもしれないが,工場がこれを検出してから会社上層部が知るまで1ヶ月もかかったことや,知った後の上層部の対応も遅れたことについて,非難が集中している。

しかし,この点はこの問題のポイントではないと思う。ポイントは,品質管理部門という組織上の問題であると考える。

もちろん,伊藤ハムほどの会社でありながら,今時,品質管理部門が存在しなければ論外だ(この点,現在の伊藤ハムのホームページからは確認ができない)。しかし多分,品質管理部門はあるのだろう。品質管理部門があるのなら,食品に接する水の管理は,品質管理部門の管轄でないといけない。だから,今回の水質検査は,品質管理部門が行うべきであるし,そうでないとすれば,そのこと自体がまず問題である。

次に,仮に品質管理部門が水質検査を行ったとして,あるいは,水質検査は品質管理部門が行わなかったとしても,検査直後に検査結果を知ったとして,検査結果が会社上層部に報告されるまでの間,品質管理部門に生産ラインの停止命令権限が無かったとすれば,問題は,品質管理部門に生産ラインの停止権限を与えておかなかったことにある。一日何万食も生産するような大規模食品製造会社における品質管理部門の存在意義は,実にこの点に存在するはずだからだ。

もちろん,品質管理部門が早くから水質基準違反の事実を知っており,しかも,生産ライン停止権限が与えられていたにもかかわらず,その権限を行使しなかったのであれば,その事実だけで,担当者は全員クビである。品質管理部門は,適正手続に従って判断した限り,「安全側」に間違っても責任を問われるべきではないが,「危険側」に間違った場合には,極めて重い責任を問われなければならないからだ。

真相が上記のいずれにあるにせよ,上層部への連絡が遅れたか否かは,本件において,些末な問題であると思う。(小林)

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