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2008年10月19日 (日)

新世代ネットワーク研究開発戦略本部

20001014日,NICT本部の新世代ネットワーク研究開発戦略本部で講演とセッションを行った。

この戦略本部は,インターネット普及の最大功労者の一人である元大阪大学総長宮原秀夫氏が昨年創設した組織であり,現在のIPネットワークの限界を見越した新世代のネットワークを構築するための中長期的な戦略について検討を進めようとするものである。

我が国としてのICT戦略の遅れに対する彼らの危機感は深刻である。20089月に著された戦略本部の「新世代ネットワークビジョン」によると,アメリカやBRICs諸国の発展に比べ,我が国の国際競争力は衰退の一途をたどっている。「『産学官を結集しオールジャパン体制を構築することによって世界を先導する』といった,旧態依然とした発想を受け入れる余力は我が国にはない。縦割り行政の弊害,研究費のばらまき施策,技術の空洞化,ニッチ市場での生き残り策の追求,グローバル化されないアカデミア,若年層の科学技術離れなど問題は山積しているが,一言で言えば,戦略無き研究開発が今日の事態を招いたと言えるであろう。」と手厳しい自省の言葉に満ちている。

講演での質問や,セッションでも,いくつか興味深い発言に接した。例えば,研究開発者はプライバシーの問題に直面したとき,どのようなオーソリティに助言を求めたらよいか分からず,尻込みしてしまうことが多々あるという発言であり,この種の悩みは,この分野に筆者が参加してから,頻繁に接する。

これに対する最も理想的な答えは,アメリカのように,個人的な確信(神の啓示とたとえても良いが)があれば,やってしまえという健全なチャレンジ精神を重視することであろう。しかし,失敗を許容しない日本文化の中では現実的でない。次善の策としては,監督官庁(たぶん総務省)を中心に,一定のガイドライン等を策定しつつ,産学が安心して開発に取り組める環境を整えることになるだろう。しかし,現在の政治状況や,住基ネット騒動に起因する一種の敗北体験からか,この点に関する総務省の腰が重いのも事実である。そこで現在は,ユビキタスネットワークフォーラムなど半官半民の団体が事実上主導していく方策しかないであろう。

非常に厳しい環境であるが,世界をリードしうる我が国の技術分野としては,ICTがその筆頭になりうるだろう。筆者も微力ながら応援しているので,研究者の皆様には,是非めざましい成果を上げて頂きたいと思う。(小林)

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