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2008年11月25日 (火)

厚生元次官宅襲撃事件雑感

この事件は現在,出頭した容疑者に背後関係があるか否かが最大の争点になっている。私も報道された限りでしか知らないが,小出しにされる警察報道には,あまり価値がないと思う。報道されていないことにこそ,注目した方がよい。

たとえば,弁護士が容疑者と接見したという報道が一切ない。もし背後関係があるならば,その組織は容疑者の口封じと情報収集を兼ねて,息のかかった弁護士を差し向ける可能性がある(ゴッドファーザーⅡの見過ぎか?)。しかし,依頼を受けた弁護士が接見したという報道はない。

他方,背後関係が無いときでも,東京の弁護士会は,重大事件の場合,容疑者の要請を待たず,弁護士を接見に派遣する制度を運用しているはずである(まさか,銃刀法違反という微罪だから派遣しない,なんてことは無いよね)。それも報道されないところを見ると,容疑者は,派遣弁護士との接見を拒否していると思われる。

現時点でもう1点報道されていないのは,事件直後に報道された不審車両との関係である。背後関係の解明には,逃走を含む二つの犯行や下調べが,徹頭徹尾容疑者ただ一人によって行われたか,という綿密な裏付け捜査が重要である。不審車両に関する捜査は,背後関係解明の突破口になる可能性があり,注目される。

現時点では背後関係を疑う声が多数だろう。確かに,犯行動機や出頭動機に関する容疑者の説明には,不自然な点が多い。しかし他方,背後関係が政治目的なら犯行声明が無いのは不自然だし,カネ目当てなら犯行との因果関係が不明だ。

背後関係の有無にかかわらず,この容疑者が実行犯となれば,死刑の求刑される可能性が高い。この裁判が裁判員裁判の対象になり,弁護人が,「この事件には背後関係がある。死刑にすれば,背後関係への糸口が永遠に封印される」と弁論したら,裁判員はどう判断するのだろう。(小林)

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