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2008年11月 4日 (火)

司法修習生や弁護士の就職斡旋業

株式会社More-Selectionsや,株式会社C&Rリーガル・エージェンシー社が,司法修習生の就職斡旋をして1年になることを初めて知った。これらの会社はこのほかに,弁護士の転職斡旋や,法科大学院生の就職斡旋もしているようだ。

需要あるところに供給あり。新人弁護士の就職難が社会問題になりつつある現在,このような業種が登場することは,当然ともいえる。また,司法試験の合格率が3割台になっている今,司法試験に合格しなかった法科大学院生の就職斡旋も,社会的に必要だろう。

ただ,弁護士の目で見ると,修習生や弁護士の就職斡旋業って,弁護士法72条に違反しないのか,と考えてしまう。弁護士法72条は,報酬を得る目的で弁護士を斡旋する業務を禁止しているからだ。違反すると2年以下の懲役又は300万円以下の罰金である。司法修習生の就職斡旋や弁護士の転職斡旋業は,これに違反する可能性があると思う。

もちろん,違反すると決まったわけではない。弁護士法72条は,具体的な法的紛争を処理する弁護士を紹介する商売を禁止した規定であって,一般的な就職斡旋を禁止した規定ではないという解釈は成立しうる。でもこの解釈を取る場合,具体的事件性と一般的な就職の境目はどこになるのだろう。悪質な業者の脱法行為に使われるおそれはないのだろうか。

もしこの点の解釈に決着がついていないのであれば,弁護士やその卵である司法修習生が,これらの会社の御世話になることは,差し控えるべきではないのだろうか。また,これらの会社から弁護士の就職斡旋を受けることは弁護士法27条違反になるのではないかと,心配する必要はないのだろうか。サイトを見る限り,大手を中心に多くの法律事務所が司法修習生や弁護士の就職斡旋を依頼しているようだが,外向きには口を酸っぱくしてコンプライアンスを説く弁護士が,このような曖昧なことで良いのだろうかと,考えてしまう。

上記にご紹介したような業者については,実質的違法性がない限りにおいて,その活動を認めるべきだし,認めるほかはないと思う。他方,このような現状であるからこそ,違法な弁護士紹介業の芽を摘む必要もある。日弁連の公式見解は確認していないが,弁護士派遣事業については違法であるとの意見だったのではないか。そうであるとすれば,派遣事業は違法で,紹介業は適法とするのか。それならば区別の根拠は何か。日弁連としては,このあたりを明らかにする責務があると思う。そうでなければ,二枚舌,業界利益優先との非難を免れないと危惧する。(小林)

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