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2008年12月25日 (木)

DISTURBIA(DVD鑑賞)

デートムービーとしては傑作。しかし、電子監視の実態を学ぶのが鑑賞の目的である。嫌みな高校教師をぶんなぐった主人公は、裁判所から3ヶ月の自宅謹慎を命じられる。この高校生が監視の目を盗んで自宅を出ないようにするのが、電子監視システムだ。裁判所の黒人女性職員は、主人公の右足首に発信器付きブレスレットを巻き付けると、機能を説明する。

Okay, you're all set to go nowhere.(さあ、あなたはこれでどこにも行けないわ。)Now, green means you're good, you're in the safe zone,(緑のランプがついている間は問題ありません。)which covers about a 100-foot radius from this guy.(その範囲はコイツ~と言って電話機横に設置された親機を指さし~から半径30メートル以内よ。)

You unplug it, the police comes immediately.(もしコイツの線を抜いたら、警察が駆けつけるわ。)He's like a modem.(コイツは通信機のようなものね。)He gets a constant GPS signal from Mr. Bracelet(コイツは君の足首につけられたブレスレットからコンスタントに位置情報の送信を受ける仕組みなの。)that goes through your phone line to the monitoring systems downtown.(その信号は電話線を通って警察署のモニター室に送信されるわ。)So they know where you are, where you've been and what you're thinking,25/7.(だから警察は、君がどこにいるか、どこにいたか、なにを考えているか分かるの。24時間ね)What if he accidentally goes beyond... red light flashes.(もし境界を越えたら赤いランプが付くわ)You got 10 seconds to get your butt back to green, or else.(そうなったら10秒以内に戻ることね。そうでないと…)」

主人公「Or esle what? The execution squad shows up?(そうでないと?死刑執行隊がやってくるのかい?)」

職員「And they don't bring blindfolds.(そう、目隠しなしでね。)It's tamper proof and waterproof.(このブレスレットは耐熱防水よ。)So don't try to stick your foot in a bucket of water and hop across the line.(だからバケツに足をつっこんで境界を越えようなんてしないでね。)」このあと女性職員は、このシステムの使用料として一日12ドルが発生すること、クレジットカード払いも受け付けていること、2、3日すると気がおかしくなってくるから気をつけるように、と言い残し、取説を置いて去っていく。

 刑事罰の執行費用をクレジットカード払いで受け付けるアメリカ人の度量の広さには驚嘆するが、それはさておき、この説明から、電子監視システムの内容を知ることができる。

まず、衛星と位置情報を交換する機能は親機(ご丁寧にSENTINEL(歩哨)という商品名であった)にある。親機にはあらかじめ設置場所の緯度経度情報が入力されており、移動されると警報を発する。電源式だが、短時間の停電で警報を発しないように、電池を内蔵していると思われる。親機は電話線でモニターされており、電話線が切断されればモニター室側で警報が鳴る。一日12ドルの使用料には、電話料金も含まれているのだろう。DSLや光回線ではなく、電話回線を使用するのはなぜなのか。電話回線なら、さほど多量の情報は送れないことになる。

 親機と子機、すなわち主人公の右足首に装着されたブレスレットとの関係はやや不明だが、微弱な電波のやりとりによって、子機が親機から離れすぎていない、ということを常時確認し続けるのだろう。このやり方だと、親機の電波の届かないところが「圏外」すなわち危険ゾーンということになる。このやり方の長所は単純で安価で堅牢なことにあるが、他方、遮蔽物や、気候や、環境や電池のへたり具合などによって境界に差異や変動が発生しないのか、気になるところだ。そうだとすると,非装着者の具体的な位置(どの部屋にいたか,など)は分からないことになる。もちろん,非装着者が何を考えているのかは分かる訳がない。また、子機は電池式だが、電池を交換する際警報が発しないようにするにはどうするのだろうか。きっと取説に書いてあるのだろう。この映画では,電子監視システムは主人公が自宅を出られないという設定のための小道具に過ぎないので,これ以上の機能は分からない。

日本の法務省は、電子監視の導入を検討している。一つは仮釈放者の処遇に、もう一つは性犯罪等特殊な犯罪の前科前歴ある者への装着である。前者の場合は映画と同様のシステムが想定されるが、後者の場合は映画とは逆に、近づくことを禁止された場所(学校など)に近づくと警報が鳴る仕組みになる。電子監視に興味のある方には、是非この映画をごらんいただきたい。恋人と一緒に見ると、一石二鳥である。(小林)

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