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2008年12月10日 (水)

食品業界の信頼性向上セミナーを終えて

東京海上日動リスクコンサルティング株式会社が主催した標記セミナーの講師として,全国15カ所の講演行脚が終了した。沖縄など,はじめて行けた地域もあり,優秀なスタッフと熱心な受講者に支えられて,よい経験をさせて頂いた。同時に講演があった食品会社のコンプライアンス体制も,大いに勉強になった。かつて同じような不祥事を起こした企業でも,企業カラーの違いが対応の違いに出ていたりして,大変興味深かった。

私が講演で雪印乳業集団食中毒事件を取り上げるとスタッフに申し上げたところ,同社のコンプライアンス担当者らと面会する機会に恵まれた。この事件は,患者数1万3000人を超える戦後最大級の集団食中毒事件であるが,その原因は,北海道大樹工場の停電にあったことが後に判明している。雪解けの始まる3月,工場の軒先にぶら下がったつららが落下し,その下にあった電線に穴を空けたのが,停電の直接の原因だったそうだ。

印象に残ったのは,この点に関する担当者の述懐である。「当日,大樹工場では,つららの落下を含め,7つのインシデント(出来事)がありました。その6つ目までは,事故とさえ言えない軽微なものでしたが,その一つが欠けても,停電は起きませんでした。しかし停電は起き,対応の過ちが集団食中毒の発生に結びついたのです。」

当時の担当者の対応の誤りは,後に有罪判決を受けているし,背後にある企業体質にも問題があった。しかし他方,事件のもともとの原因が,惑星直列のような偶然の一致にあったことも見落とされるべきではない。不可抗力とは何で,過失とは何であるのか。人は,あらゆる可能性を事前に想定できるのか。想定できないとすれば,最善の方策は何か。

色々と考えさせられた一件であった。(小林)

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