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2008年12月 3日 (水)

福岡県弁護士会「グーグルストリートビュー」中止を求める会長声明

 2008121日,福岡県弁護士会が,会長名で,グーグルストリートビューの中止を求める声明を出した。公的団体の声明としては,先日の杉並区議会決議に続くものと思われるが,弁護士会が声明を出すのはおそらく初めてだからなのだろう,報道もされている。

弁護士会長声明というと,その弁護士会の総意のように受け取られがちであるが,実態はそうでもない。弁護士会にはいくつかの委員会(例えば,人権委員会,消費者保護委員会など)があり,それぞれの委員会はその分野に熱心な弁護士を中心に運営されている。その委員会が,弁護士会として対外的に何かをアピールすべきだ,と考えたとき,会長に対して,声明の発表を具申する。そして,会長以下執行部が承認すれば,それが会長声明として発表されるという段取りである。もちろん,だからといって,声がデカければ横車が押せるというわけではない。会として他の声明との整合性を図らないといけないし,相当数の会員が反対するような内容なら,会長声明にはならない。

この会長声明を具申した委員会の正式名称は知らないが,日弁連で言うと情報問題対策委員会に該当する委員会であり,その中心になっているのは,福岡県弁護士会に所属する武藤糾明(ただあき)弁護士と思われる。武藤糾明弁護士は日弁連情報問題対策委員会の副委員長であり,ストリートビュー問題以外にも,Nシステム裁判や,福岡市繁華街に設置された街頭監視カメラの問題,福岡市住基ネット訴訟などについて,熱心な活動をしておられる。

Matimulog氏は,「でもなんで福岡なんだ?まだグーグルストリートビューが来ていないのに」と,至極ごもっともな疑問を呈しておられるが,武藤糾明弁護士が活動の中心にいると考えれば,謎は解ける。

私自身は,グーグルストリートビューが現行法上,本質的に違法であるとは考えていないが,だからといって,今回の声明が間違っているとまで言うつもりはない。一つの立派な見識であると思う。ただ,やや疑問に思うのは,グーグルストリートビューが違法なら,商店街の監視カメラはもっと違法なはずだし,そうであると考えるなら,弁護士である以上,カメラの撤去や損害賠償を求める訴訟を起こせばよいのに,なぜ起こさないのだろうか,という点だ。原告適格を得るのは簡単である。自分で,その商店街を歩けばよいのだから。

あるいは,まず世論を見方に付けてから裁判を起こすという作戦なのかもしれない。世論を味方に付けるという意味でなら,グーグルストリートビューは,格好の素材を提供したと言えよう。(小林)

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