« フラガール(DVD鑑賞) | トップページ | 伊藤ハム事件を振り返る(3) »

2009年1月 9日 (金)

伊藤ハム事件を振り返る(2)

以上は,事件発生時の報道を整理したものである。12月25日に公表された調査委員会報告書に記載された経緯は,当時報道された事実と微妙に異なる。

報告書で判明したことには,伊藤ハム東京工場の3本の井戸水は,それぞれの原水と殺菌処理後の水(処理水)について,1本ずつ,外部業者による定期検査が行われていた(つまり6回の定期検査が入れ替わり行われていた)。そして9月24日,2号井戸の処理水について,基準値を超えるシアン化物と塩化シアンが検出されたと,担当者と担当課長に報告されるが,担当課長は「シアン化物イオン及び塩化シアンについての正確な知識に乏しく,当該事実の重大性についての認識を欠いたため,上司に報告することもなく,特に何らの対応もしなかった」。担当者は独断で2号井戸を再検査させるが,10月2日,やはり異常値が出たとの報告を受けたにもかかわらず,採水後の10月1日に行った「次亜塩素酸ナトリウム入れ替えにより,今後はその数値が基準値以下に安定すると思い,この報告結果を課長に報告しなかった」。しかし,10月9日には3号井戸の処理水が基準値を超えたと報告があり,14日には2号井戸の原水で異常値が報告される。しかし同日この報告を聞いた課長は,「事実の重大性についての認識を欠いたまま」,工場長への報告を怠った。

工場長が担当課長から報告を受けたのが10月15日であり,このときは異常値が検出された2号井戸と3号井戸の処理水を直接製品に混入する用途に使用しないよう指示したが,翌16日,異常値が高かった2号井戸の使用中止を決定した。そして,14日及び17日の再検査では異常値が検出されなかったとの報告を受け,22日,初めて本社生産事業本部長,生産管理部長,品質管理部長に事実関係を報告した。そして,23日に柏市保健所への報告が行われ,25日の記者発表に至る。

調査委員会報告書の記載と事件当時の報道とを比較して,疑問が残る点は,調査報告書によれば,10月24日に柏市保健所が行った東京工場井戸水の水質検査において法令の基準値を超えるシアン化物イオン及び塩化シアンは検出されなかったと発表したとあるが,10月28日の毎日新聞朝刊には,「柏市保健所は27日,地下水から基準値(1リットル当たり0・6ミリグラム)の約2倍に当たる1・1ミリグラムの塩素酸を検出したと発表した。」とある。いずれも事実とすれば,調査委員会報告書は塩素酸検出の記載を故意に落としたことになり,その公正性がやや揺らぐことになろう。(小林)

|

« フラガール(DVD鑑賞) | トップページ | 伊藤ハム事件を振り返る(3) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/192469/43632169

この記事へのトラックバック一覧です: 伊藤ハム事件を振り返る(2):

« フラガール(DVD鑑賞) | トップページ | 伊藤ハム事件を振り返る(3) »