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2009年2月 4日 (水)

日弁連はなぜ負けたのか(総会編 2)

平成6年12月21日日弁連臨時総会(2)

この臨時総会の議題は,弁護士人口の増員問題について,執行部案と反執行部案のいずれを選択するか,というものだった。

執行部案と反執行部案の対立点は,弁護士人口の増員について,執行部案が増員の条件を特に付していないのに対して,反執行部案が司法基盤整備等のさまざまな条件を付している点だ。執行部にとって特に厳しい条件は,反執行部案が今後の増員は総会の権限とし,執行部のフリーハンドを許さない点である。

総会に参加した弁護士の多くは,執行部案か,反執行部案かの2者択一になる,と思っていたはずだ。ところが,総会の途中で関連決議案が提出され,これも諮られることになる。

関連決議案は二つあった。このうち,「司法基盤整備・法曹人口問題に関する関連決議」は要するに,司法試験の合格者を今後5年間年800人とすることと,その後の法曹人口計画の策定は総会の権限とすることを内容としている。一方,「法曹養成制度の『統一・公正・平等』に関する関連決議」は要するに,丙案反対と言っている。この二つは,いずれも関連決議だから,メインの決議より格下である。しかし総会後,重要性を持つのは「司法基盤整備・法曹人口問題に関する関連決議」だった。

総会の進行を要約して振り返りたい。

臨時総会の冒頭,副会長の荒木邦一福岡県弁護士会会長(故人)が,「イデオロギー対立の解消による社会構造の変化は,法的サービスの需要を増加させているから,弁護士も,この需要に応えて司法改革を推進しなければならない。現在の司法試験は,合格年齢上昇,受験者滞留,人材流出という問題を抱えており,その根本原因に法曹養成を担う高等教育機関の不存在がある。日弁連は,平等な司法試験制度と統一修習制度を堅持するため,丙案阻止に向けて,判事検事の増員と均衡を保ちつつ弁護士増を含む抜本的改革案を作る必要がある。」と執行部案の提案理由を説明した。

本稿では余談であるが,後の法科大学院構想が垣間見えるところは興味深い。

これに対して,反執行部案提出者代表として愛知県弁護士会の野間美喜子弁護士が,「執行部案は,日弁連法曹養成問題委員会意見書を無視し,弁護士増員に圧倒的多数が反対というアンケート結果を無視し,会内合意手続を無視して策定されたものであり,民主主義的ではない。この議案は,判事検事の増員,司法予算の増員をせず,弁護士業務の実態を無視したまま,弁護士だけを増員させる結果を招く。」と反執行部案の提案理由を説明した。

もっとも,これは執行部案の反対理由にすぎず,反執行部案案を推す理由でない。そこで,臨時総会直前の11月27日付毎日新聞にまとめられた同弁護士の意見を引用すると,「弁護士数ではなく、裁判官数が極端に少ないことの方がより問題だ。裁判官の負担加重で訴訟が遅延するなど、国民の満足する裁判になっていない。また,人権擁護、社会正義の実現など弁護士の使命を果たすには、在野性を支える職務の独立性と経済的自立が必要であり、競争状況が生じるような大幅増員に反対」ということである。前者は司法基盤論,後者は弁護士の経済的自立論と呼ばれる主張である。(小林)

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