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2009年2月11日 (水)

日弁連はなぜ負けたのか(総会編 5)

平成61221日日弁連臨時総会(5

議論が白熱し,ヤジと怒号が渦巻く中,昭和50年度日弁連会長である辻誠弁護士(東京)が突然,関連決議案があると言い,案文を出席者全員に配布し,前田弁護士(二弁)とともに,「日弁連は割れたままでなく,最後に一つまとまっていることを示すために,関連議案に賛成して頂きたい」と提案理由を説明した。前田知克弁護士は,反執行部案を提案した野間美貴子弁護士から,「執行部に無視された法曹養成問題委員会意見書」と指摘された当の委員会の委員長である。つまり,単純に分類すれば,反執行部案支持に色分けされるべき人物だ。

これに対して,久保利英明弁護士(二弁)が,「自分が預かっている委任状の委任の範囲は,執行部案と反執行部案に対する賛否だけなので,関連議案についてはどう行使すればよいのか」という,株主総会指導弁護士の先駆者として至極真っ当な質問を発するが,土屋会長は,「この関連決議案は,執行部案を具体化したものだから,執行部案に賛成する人は,委任状を関連決議賛成に投じてほしい」と答弁する。これはつまり,関連決議案の提出は執行部も承知する出来レースであるというメッセージである(しかし,久保利英明弁護士によれば,同弁護士は関連決議に反対票を投じたようだ)。このほか,「これは関連決議案ではなく修正決議案ではないか」という的確な質問も出るが,辻誠弁護士は,「あくまで関連決議」との立場を譲らない。

その後,芳賀淳弁護士(東京)が,「法曹養成制度の『統一・公正・平等』に関する関連決議」を提案し,山俊吉弁護士(東京)が賛成理由を述べた。こちらの関連決議案について,執行部が事前に承知していたか否かは分からない。

議決に移り,5276票対3675票で,執行部案が可決される。次に関連決議に関しては,いずれも圧倒的多数で可決された。

まとめに入る前に,特に感銘を受けた発言を,公平を期すために執行部派反執行部派から一つずつご紹介しよう。

執行部派からは,「反執行部案は要するに,弁護士増員反対のための反対である。反執行部案が通れば,マスコミの批判を浴び,国民の信頼を失う。そうなったら,司法試験改革から日弁連は外され,簡単に2000人,3000人という大量増員が進められることになる」という福原弘弁護士(東京)の発言が,その後の展開を的確に予言していたという意味において,紹介に値する。もっとも,福原氏の支持する執行部案が議決されたのに,なぜ同弁護士の予想通りになったかについては,関連決議と関わることなので,後に述べたい。

反執行部派からは,「執行部案は結局,弁護士のビジネスローヤー化を推進するだけで,少額事件で悩む市民は切り捨てられる。弁護士ギルドだエゴだというマスコミの批判は間違いであり,人権救済は社会保障と位置づけないと実行できない。まず扶助予算の増大を国が決定すべきだ。それができれば弁護士増員に賛成する。我々は自らの権益にこだわっているわけではない。」という福井正明弁護士(三重)の発言も,当時の日弁連バッシングの中における冷静な一つの正論としてご紹介に値する。

もっとも,福井正明弁護士は,否決された反執行部案の提案者でありながら,関連決議については,質疑討論の打ち切り動議を発言し,こう言っている。

「我々はいうべきことは言う,そして議論することはする。そして一つの結果が出たらそれを尊重して進む,このルールはきちっと守っております。辻誠先生が提案されたこの関連決議案の趣旨をきちんと守って,会員の統一ということを図っていただくのが執行部の努めであると思います。」

民主主義の教科書のような演説であるが,この関連決議は,福井正明弁護士が反対した執行部案を「具体化したもの」(土屋公献日弁連会長)であるから,福井正明弁護士の立場からは,反対するのが筋である。

それにもかかわらず,福井正明弁護士がこの関連決議に賛成しようと呼びかけているのは,一体どういうことなのだろう。(小林)

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