« 事故米事件を反省するなら(1) | トップページ | 事故米事件を反省するなら(3) »

2009年3月11日 (水)

事故米事件を反省するなら(2)

いわゆる事故米穀の不正転売問題は,遅くとも,政府保管米に余剰が発生しだした昭和40年代後半から発生していたと見るべきである。そうだとすれば,ウルグアイラウンドも,ミニマムアクセス米も,事故米問題には直接関係がない。

では,当時,事故米の不正転売は,なぜ防げなかったのだろう。それは一言で言うと,政府による事故米払い下げ制度に,食の安全に対する配慮が足りなかったからだ。

保管米には,環境状の影響や自然災害など,様々な要因で,水ぬれやカビ発生などの事故が発生する。何百万トンも保管しているのだから,どうしても一定の割合で事故が発生することは防げない。この事故米は,従前「物品(事業用)の事故処理要領」という,昭和40年(1965年)に当時の食糧庁長官が出した通知に従って処理されてきた。これは,政府所有物品が事故にあって失われたり,損傷したりしたときに,速やかに処分して,政府の損害を最小限に止めることを基本方針とするものだ。このような基本方針だから,食の安全に対する配慮は副次的なものでしかない。

この「物品(事業用)の事故処理要領」は,損傷を受けた政府所有物品を「事故品」と定義し,このうち,担当官が主食用不適と認定した米穀を「事故米穀」と定義している。大事な点は,事故米穀はあくまで主食用,つまりお米として食するのが不適と認定されただけで,食用に適さないと認定されたわけではない。後に,「病変米のため主食用不適認定された米穀…については…非食用に処理する」との条項が追加されただけで(いつ追加されたかは資料不足のため不明),これとて,非食用として処理される米穀は「病変米」に限定されており,政府所有後に基準値以上の残留農薬が検出された米穀は含まれていない。カビが発生したコメが「病変米」に含まれるかも,解釈上疑義が残る。

すなわち,この要領だけからは,農薬に汚染された事故米穀をせんべいや酒の原材料として売却することは可能であり,何の問題もないことになる。今回,三笠フーズらの行為が摘発されたのは,事故米穀を売却するに際して,担当の地方農政事務所長が,「工業用糊等」と用途を限定したにもかかわらず,それ以外の用途に横流ししたからである。

つまり,農水省から見れば,三笠フーズらは,「地方農政事務所長の指示に違反した」という契約違反を犯しただけだ。この事件の引き起こした影響にくらべ,違反の程度は,形式的にはとても低い。この極端なアンバランスは,どこかに制度的な欠陥が存在することを示唆している。(小林)

|

« 事故米事件を反省するなら(1) | トップページ | 事故米事件を反省するなら(3) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/192469/44144136

この記事へのトラックバック一覧です: 事故米事件を反省するなら(2):

« 事故米事件を反省するなら(1) | トップページ | 事故米事件を反省するなら(3) »