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2009年4月 2日 (木)

BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)は二種類あるらしい

先日、内閣府の社会還元加速プロジェクトに委員として出席し、中島八十一医学博士からBMI研究の進捗状況について話を聞いた。BMIとは要するに、脳とコンピューターを直接結び、考えただけで機械が動くようにする、未来の技術である。

しかし、話を聞いてみると、BMIには二種類あるらしい。もしこの理解が間違っていたら誰か教えて下さい。

一番目は、体の動作など、比較的単純(というより動物的な)なものに関するBMIである。言い換えると、人種や性別などの影響を受けず、個性もない脳の命令に関するBMIである。例えば、「右手を挙げる」という動作を命じる脳の信号は、おそらく、全人類共通だから、誰からも同じ脳波が検出される。そしてこの信号は筋電より明確らしいので、電子義手や電子義足を動かすためには、BMIの方が有効と思われる。

二番目は、言語や思想など、高級な(人間的な)脳の命令である。たとえば「A」という文字を表示させたいと考えたとする。このとき発せられる脳波は、全人類共通であるとは限らない。より複雑な、たとえば「テレビの電源を入れる」という思想の脳波には、強く個性が反映され、たぶん各人まちまちであろう。このほか空間把握の方法が男女で全く違うことは、よく指摘されているところである。このような場合、特定の脳波と、機械の特定の動作を、直接結びつけることができない。その人の個性を介在させる必要がある。

中島博士によるBMIのプレゼンでは、考えただけで動作するワープロが紹介されていた。特別な訓練をしなくても、平均1文字7秒でワープロが打てるという。確かに画期的な技術だが、プレゼンで紹介された動画によれば、被験者はパソコンの画面上に点滅する文字に集中することで、その文字を出力している。つまり、「被験者が『A』と考えたから『A』と表示した」のではなく、「画面に『A』という文字が表示されたとき、被験者の脳波が昂進する点をとらえ、被験者が『A』と考えていることを推測する」ということなのだろう。これは人間の個性というやっかいな障害を回避するアイデアとしては評価できるが、厳密な意味でのBMIと呼べるかについてはやや疑問が残る。最大の問題は、このやり方の場合、処理速度の向上には本質的な限界があるという点だ。文字通り「考えただけで機械が動く」ようにするには、二番目のBMI技術しか無いと思う。

二番目のBMIの場合、その人の個性を介在させる必要がある、ということの意味は、その人の脳波を、機械による特定の動作に対応するよう翻訳するシステムを設ける必要がある、ということだ。太郎君が「テレビの電源を入れる」と考えたときの脳波と、花子さんが同じことを考えたときの脳波は違うので、それぞれを、同じ「テレビの電源を入れる」という機械の動作に翻訳する必要がある。そのためには、太郎君の脳波と、花子さんの様々な脳波パターンを登録し、機械動作との対応関係表を作成しておかないといけない。

これは「人格のコピーをつくる」ということに、かなり接近する問題である。とすると、法律上、倫理上の問題を避けて通ることができない。BMIにも、将来、このような問題が発生することになろう。(小林)

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