« アシモやタチコマは自動車か?(2) | トップページ | 自国通貨を刷って国の借金を返すと言っていいのだろうか »

2009年4月18日 (土)

アシモやタチコマは自動車か?(3)

以上の通り,陸上を移動するロボットは,現行法の解釈上は,道路運送車両法や道路交通法上の「自動車」や「原動機付自転車」に該当する可能性が高いことを述べた。そして,これらの定義規定は,他の法律にも使用されている。

たとえば,自動車損害賠償保障法は,自動車の運行供用者に損害賠償保険への加入を義務づけるとともに,被害者に対する無過失責任を定めている。同法の定義する自動車は,「道路運送車両法の定める自動車(農耕作業の用に供することを目的として製作した小型特殊自動車を除く)及び同条第3項に規定する原動機付自転車をいう」としているから,次世代ロボットが道路運送車両法の適用を受ける以上は,自賠責法の適用があり,運行供用者は無過失責任を負うことになる。なお,自賠責法の定める「運行」は,「人又は物を運送するとしないとにかかわらず,自動車を当該装置の用い方に従い用いることをいう」とされているから,公道における運用に限定されない。

また,刑法は,自動車の運転者の刑事責任として危険運転致死罪(刑法208条の2)と自動車運転過失致死傷罪(刑法211条2項)を設けているが,ここでいう「自動車」には,道路交通法の規定する「自動車」と「原動機付自転車」が含まれる。したがって,次世代ロボットが道路交通法の定める「歩行補助車」に該当しない限り,道路交通法の定める自動車または原動機付自転車にあたり,その事故について,刑法の適用を受ける場合があることになる。

もっとも,道路運送車両法も道路交通法も,その制定者が次世代ロボットを想定していなかったことは明らかであること,例えば二足歩行ロボットを自動車と見なすことについては文言上乖離がありすぎること,特に刑罰規定については罪刑法定主義の要請があることから,両法とも次世代ロボットを対象としていないという解釈も十分成り立つところである。結局のところ,次世代ロボットを公道その他公共の場所で用いるためには,これら法令の整備が不可欠ということになる。(小林)

|

« アシモやタチコマは自動車か?(2) | トップページ | 自国通貨を刷って国の借金を返すと言っていいのだろうか »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/192469/43586272

この記事へのトラックバック一覧です: アシモやタチコマは自動車か?(3):

« アシモやタチコマは自動車か?(2) | トップページ | 自国通貨を刷って国の借金を返すと言っていいのだろうか »