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2009年4月20日 (月)

自国通貨を刷って国の借金を返すと言っていいのだろうか

「日本国は破産しない…のか?」のエントリに対して,「通りすがり」氏から真面目なコメントをいただいたのでお応えをしたい。

「通りすがり」氏は要するに,「日本国債は円建てであり,自国通貨を刷って借金を返すことができるので,日本国は破産しない」と主張する。

そこで,この主張を検証する。

単純に,政府が10年もので,固定利率1%の国債を売り出したいと思っていると想定してみる。この国債が売れるためには,利率以上に自国通貨を刷り増ししない,と信頼してもらうことが必要である。もし利率を超える通貨の刷り増しが行われたら,購入者が割り負けしてしまうからだ。だから,国債を発行する以上は,政府は,安易に自国通貨の刷り増しをしません,という公約をしていることになる。もちろん,政策上多少のインフレ誘導が必要なこともあるだろう。しかし,国債購入者が合理的に予測できる範囲を超えて,自国通貨の刷り増しをしたら,国は,国債購入者の信頼を喪失する。そうなったら,誰も国債を買わないし,中途解約希望者が殺到する。経済的な信頼を喪失するとは,破綻するということだ。

だから,「自国通貨を刷って,借金を返すことができる」というのは,政府は国債をどんなに発行しても問題はない,と言う理由にならない。政府がそう言ったら最後,誰も国債を買わないし,思っただけでも買わない(政府が思ったことは,思っただけで,大概バレるものだ)。

そう主張する人に聞いてみたいものである。政府があなたの意見に従うとき,その政府から国債を買いますか?と。

なお,「日本のインフレ率は世界最低水準だから,多少自国通貨を刷っても問題ない」という主張は,議論をすり替えている。

「自国通貨を刷って借金を返すことができるから」という「通りすがり」氏前半の主張は,「どんなに国債発行を増やしても日本国は理論的に破綻しない」という結論に結びつく。「政府の借金が増えても,国民の資産が増えるから,国家のバランスシート上,債務超過にならない」という日経新聞「越渓」氏の主張もやはり,「どんなに国債発行を増やしても理論的に大丈夫」という結論に結びつく。私は終始この結論について論じている。今この場で,「国債発行を多少増やしても,現実問題としては大丈夫」という議論は一切していない。これは前のエントリの冒頭でお断りしている。

日本国債購入者の95%が日本人,とは知らなかった。しかし結論には何の影響もない。「三橋貴明さんや廣宮考信さんという方のブログをご拝読ください」とのことだが,現時点で拝読できていないので,あしからずご了承ください。(小林)

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コメント

国債は銀行に引き受けさせるんですよ。
これは事実上半強制的です。
銀行は儲かるから引き受けてるわけじゃありません。
そして、我が国の国民は直接投資を嫌って銀行に預けています。
これが国債に回っているのです。
我が国は国民が消費をしません。
本来は国民が消費することによって、景気を刺激すべきです。
しかし、国民が消費しない。
その金は銀行に溜め込まれています。
これを国債を経由して国が使っているわけです。
従って、国債増発を嫌うのであれば、国民の一人として
活発に消費をしてください。
上記のような銀行の資金利用の仕方は、非効率な国債での運用ということで
批判されるべきでしょうか。否です。
サブプライムでの被害がなぜ日本では少なかったのか、
その原因は実は、上記のような資金運用のやり方にあったわけです。
そのあたりの全体を考慮して議論しなければ、局所的な議論で
安易に結論を出しては駄目です。

投稿: | 2009年5月11日 (月) 17時43分

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